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作家の読書道 WEB本の雑誌 Presents

WEB本の雑誌

作家自身は、どんな「本屋のお客」なんだろう?そしてどんな「本の読者」なんだろう?
そんな疑問を、作家の方々に直撃インタビューです。

相場英雄さん:イメージ

第189回:相場英雄さん

その6「いいノンフィクションとは」(6/7)

ミステリー『震える牛』がベストセラーになり、その後も話題作を発表し続けている相場英雄さん。新作『トップリーグ』も政界の暗部に切り込むリアルなミステリー。エンターテインメントに徹する著者はキーパンチャーから記者になり、さらに漫画原作を手掛けるなどユニークな経歴の持ち主。その人生の道のりで読んできた本、そして小説家になったきっかけとは?

震える牛 (小学館文庫)
『震える牛 (小学館文庫)』
相場 英雄
小学館
771円(税込)
殺人犯はそこにいる (新潮文庫 し 53-2)
『殺人犯はそこにいる (新潮文庫 し 53-2)』
清水 潔
新潮社
810円(税込)
遺体: 震災、津波の果てに (新潮文庫)
『遺体: 震災、津波の果てに (新潮文庫)』
石井 光太
新潮社
594円(税込)
「鬼畜」の家:わが子を殺す親たち
『「鬼畜」の家:わが子を殺す親たち』
石井 光太
新潮社
1,620円(税込)

――デビューが決まった時は、まだ時事通信にいらしたわけですよね。

相場:それがですね。選考会の当日に「もしかすると受賞するかもしれないので、夜はあけておいてください」と担当の方に言われ、そうしたら夕方時5時くらいに「おめでとうございます。すぐ帝国ホテルに来てください」と連絡があって行ったわけです。選考委員のみなさんがいらして、そこで版元の賞の担当者が「さきほどプレスリリースを大手マスコミ各社の文化部に配りましたので」っていうから見たんですよ。そしたら「相場英雄(時事通信記者〇〇)」って、本名が書いてあって、「はい?」となって。「あの、これはちょっと待ってください」と言った瞬間、もう電話が鳴りやまなくて。時事通信の文化部から経済部に問い合わせが来て、記者クラブに電話しても今日はもう帰ったというからといって、経済部長や編集局長が電話してきてたんです。
 ただでさえキーパンチャーから記者になったということで男のジェラシーがすごかったのに、「それが小説家デビューだ?」ということで、もうすごくて。それで、1年くらい後、2006年末に辞めました。各出版社の仲のいい編集の方に「どんな仕事でもやりますよ」とお願いしました。ゴーストの仕事とかもやりました。名前は言えないですけれど。

――へええ。

相場:それで2年くらい繋いでいって、ムックの企画取材とかもやって、ライターさんの真似事みたいなこともやらせていただいた時に、小学館の漫画の編集さんから文芸の編集を紹介されて、彼が2時間ミステリーの原作を作るんだ、と。西村京太郎、内田康夫に続く新たな旅もののコンテンツを作るんだって言われて、それで「みちのく麺食い記者」シリーズを始めて、なんとか小説で食っていけるようになって。それを6作書いている途中で『震える牛』の企画を考えて取材して、それが当たって、という。で、今に至るということですね。

――デビュー後の読書はいかがですか。同世代の作家の作品とかはいかがでしょう。

相場:流行りもののミステリーとか、乱歩賞とかミステリーの賞を受賞したものをポコポコと読んでいます。デビュー前に読んだ100冊の先生方の本は定期的に読んだりもしますが、同世代の人だと、初期の頃の薬丸岳さんをよく読みました。今は本当にネタ本が中心になっちゃって、おどろおどろしいネタとか読んで病みそうなので、「人が書いた小説読みてえ」っていうのがあるんですけれど。

――資料って、一冊を熟読するわけじゃないと思うんです。どういう読み方をされていますか。

相場:付箋を貼って、メモを作って。そこは記者の時と一緒で、本を読むというより、ものすごい量の中から情報を抽出する作業なんですよ。でも抽出する作業の中でも読んじゃう本っていうのはありますね。清水潔さんとか、石井光太さんとか。

――清水さんの『殺人犯はそこにいる』とか、石井さんの『遺体』とかですか。

相場:そうです。石井さんは『「鬼畜」の家』もすごかった。これはあえて言いますけど、ノンフィクション系の人で「本が売れない」「取材費がかさむ」「部数出してくれない」って愚痴ばっかり言っている人がいますが、僕は大っ嫌いなんですよ。ノンフィクションでも売れるのを書けばいいじゃん。なのにそういう奴に限って、売れてる人たちのことを悪く言う。それがすごく嫌で。
清水さんと石井さんは、ものすごく文章が巧いんですよ。それに、僕も取材してきた人間ですから、文章を読めば「この人たちどんだけ取材してるんだよ」って分かるんですよ。「だいぶ端折ってあるけれど、まだまだこの間にいっぱい取材してありますね」「取材したことを捨てて捨てて、この分量になったんですね」って見えるんですよ、文脈から。っていう本になるとやっぱりネタ本という観点でなくなって、本当に読書として読んでしまいます。ノンフィクションであれだけ数字出す人たちって、やっぱりすごいなって思いますね。

――時間があれば読みたいものは。

相場:海外ミステリー。2、3年前に船橋のときわ書房の宇田川拓也さんに、新刊が出てご挨拶に行った時に「宇田川さん、ちょっと悪いんだけどさ、絶対休みとるからさ、これ読んで桶っていう宇田川チョイス20冊選んでおいてよ」って頼んだのが、まだ積読なんですよ。

――宇田川さん、何を選ばれたのですか。

相場:『百万ドルをとり返せ!』みたいな有名なものから、「意外と読まれてないけれど、絶対相場さんはこれが好きだから」というような若手作家さんのやつとか、ヨーロッパの本とか。去年今年実現しているんですけれど、沖縄の宮古島が大好きで、ビーチで何もしない過ごし方をしているんですが、来年もそこで宇田川チョイスの文庫を持っていって、ビールを飲んで、読んで、ちょっと暑くなったら海に入って、というのをまたやりたいですね。

――冬だったらどういうふうに読書したいですか。

相場:僕、東北にも詳しいんですが、湯治宿ってまだいっぱい残ってるんですよ。湯治宿って自炊部があるんですよ。東北って冬になると農業ができないので、農家の人たちが1か月とか逗留するんですよ。そうすると宿で出してくれるものだとお金がかかるので、自分で食料を持っていって自炊をする。適当に酒飲みながら温泉入って本を読むって、これ最高じゃないですか。そこで過ごしたいなっていう夢があります。近々の夢として。

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