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作家の読書道 WEB本の雑誌 Presents

WEB本の雑誌

作家自身は、どんな「本屋のお客」なんだろう?そしてどんな「本の読者」なんだろう?
そんな疑問を、作家の方々に直撃インタビューです。

相場英雄さん:イメージ

第189回:相場英雄さん

その4「記者と同時に漫画原作」(4/7)

ミステリー『震える牛』がベストセラーになり、その後も話題作を発表し続けている相場英雄さん。新作『トップリーグ』も政界の暗部に切り込むリアルなミステリー。エンターテインメントに徹する著者はキーパンチャーから記者になり、さらに漫画原作を手掛けるなどユニークな経歴の持ち主。その人生の道のりで読んできた本、そして小説家になったきっかけとは?

不発弾
『不発弾』
相場英雄
新潮社
1,728円(税込)

――なるほど(笑)。そうやって忙しく働き、活躍しているなかで、小説家になろうと思ったのはどうしてだったのでしょうか。

相場:ええと、スクープを出しまくっていたんですよ。それで内部告発があって、絶対に出てこない内部資料をポンと出されたんです。『不発弾』という小説のもとになった話なんですけれど、僕しか資料を持っていないんで、他が後追い取材をできないんです。でも僕がいた時事通信って、「後追いされない記事はスクープと認めん」という不文律があってですね。ちゃんとした結果も出ているのに認めてくれなくて。本当のことを書きすぎて営業や事業のほうからクレームがきまくって内容証明を求められたりして、「じゃあ訴えてもらいましょうよ。全部本当で絶対こちらが勝てますから」と言っていました。ある日当時の経済部長に、夜1時の締切が終わって2時に新橋のガード下の居酒屋に呼び出されて、褒められるのかなと思ったら、「君のネタ元、誰?」って。それでプツンと糸が切れて「ああ、もう一切スクープ出しません。9時5時の記者になります。定例の割り振られた仕事しかしません」となって。実はその時、某放送局への転職の話が進んでいたんです。でも、あとは最終面接という段階で、仲介してくれた人から電話があって、「ごめん、人事部長が駄目って言ってる」「え、なんでですか」「君、大卒じゃないから」。

――えーっ。ひどい話。

相場:その頃、超有名な漫画原作者のブレーンをやっていて、他の作品にも携わったりしていて。そうしていたら、ある時「小説書いてみたら」と言ってくださる方がいらっしゃって、たまたまダイヤモンド社さんで第2回経済小説大賞を募集なさっていたんで、そこに出すために、まず本を読み始めました。

――文章を書くことは好きだったんですか。

相場:まったく興味はなかったですけれど、読書感想文は高評価を取りました。すごく嫌なガキだったので、「体言止めから始めればいいんでしょ」って。新聞記者をやっていましたけれど、その時も別に文章にはこだわりがなかったです。新聞記者の文章ってマニュアルがあって、「こういう時はこうで、こういう時はこう」というパターンを組み合わせればいいように、新人教育のファイルがありますので。

――それを叩きこまれてしまうと、小説を書く時に書きづらくなかったですか。

相場:僕はその前に漫画原作をやっていたので。そこで徹底的に鍛えられたんです。漫画編集者って怖いのがいっぱいいるんですよ(笑)。「こんなんじゃ漫画家が全然絵が描けないじゃん」と言って、紙をくしゃくしゃに丸められて放られたりとか。

――漫画原作のブレーンになったきっかけは何だったんですか。

相場:大きな出版社の週刊誌の記者さんって、その場で僕に経済ネタを僕に訊いてくるんですよ。「今週何か面白いネタはあった?」とか「株価下がったけれど、あれはどうなの」とか。そういう付き合いのある人が、たまたまコミックに異動になったんです。その人の伝手で、ある漫画原作の大御所の人が経済漫画を始めるからブレーンをやらないかという話がきて。
 それがもう面白くて面白くて。ネームをはじめて見た時には「こうやって漫画を作るんだ」って純粋な感動がありました。

――漫画原作ってどういうふうに書くんですか。

相場:いろんなパターンがあるんですよ。本当に脚本のように書く場合もありますし、ペラ紙に要点だけ書く場合もあるし。カットだけ割って「こんな感じ、こんな感じ、で、決め台詞にこんなの入れたらいいんじゃない」という、ラフなメモの時もあります。漫画家さんによって違いますし、編集者との組み合わせによってもやり方を変えるんで。僕はだいたいシナリオ形式でやっちゃうんですけれど、そこから漫画家さんと編集者の視点が入って盛り上げ方が変わったりして「あ、ここで見せ場はこうなるんだ」というのがまた面白かったりするんですよね。
 よく若い漫画家さんがネットで編集者の愚痴をこぼして炎上したりするじゃないですか。本当にひどい編集者もいますし、「ものすごく優秀だけどその口のきき方が誤解されるんだよな」みたいな奴もいますし、まあ、いろんなタイプがいます。僕がおつきあいした編集の方はたまたま、いい人ばかりでした。まあ口は悪かったですけれど。漫画家さんもみんな面白い方ばかりだったし「ここを使うのか」「ここを延ばしてこんな面白い引きの絵を作るんだ」というのがすごく勉強になりました。というのをサラリーマン時代にやっていたんで。

――どんな作品に関わったのですか。

相場:「闇金ウシジマくん」とかは、株の信用取引でウシジマくんがある主婦をカモにするんですけれど、そのネタを出させていただいたりしましたね。他は、名前は出せない漫画もあったりするので(笑)。

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