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作家の読書道 WEB本の雑誌 Presents

WEB本の雑誌

作家自身は、どんな「本屋のお客」なんだろう?そしてどんな「本の読者」なんだろう?
そんな疑問を、作家の方々に直撃インタビューです。

住野よるさん:イメージ

第181回:岡崎琢磨さん

その4「好きな同時代作家」(4/5)

デビュー作『珈琲店タレーランの事件簿』が現在第5巻まで刊行される人気シリーズとなっている岡崎琢磨さん。ノンシリーズ作品も順調に刊行され、作風を広げている注目の若手ですが、実は大学時代まで音楽の道を志していたのだそう。そんな岡崎さんが作家を目指すまで、そして作家になってから読んできた本とは?

ラットマン (光文社文庫)
『ラットマン (光文社文庫)』
道尾 秀介
光文社
637円(税込)
透明カメレオン
『透明カメレオン』
道尾 秀介
KADOKAWA/角川書店
1,836円(税込)
オーデュボンの祈り (新潮文庫)
『オーデュボンの祈り (新潮文庫)』
伊坂 幸太郎
新潮社
724円(税込)
重力ピエロ (新潮文庫)
『重力ピエロ (新潮文庫)』
伊坂 幸太郎
新潮社
724円(税込)
アヒルと鴨のコインロッカー (創元推理文庫)
『アヒルと鴨のコインロッカー (創元推理文庫)』
伊坂 幸太郎
東京創元社
700円(税込)
チルドレン (講談社文庫)
『チルドレン (講談社文庫)』
伊坂 幸太郎
講談社
648円(税込)
死神の精度 (文春文庫)
『死神の精度 (文春文庫)』
伊坂 幸太郎
文藝春秋
605円(税込)
家日和 (集英社文庫)
『家日和 (集英社文庫)』
奥田 英朗
集英社
518円(税込)

――応募生活の頃は本を読む時間はありましたか。

岡崎:一番読んでいたのが2010年、小説を書き始めた翌年です。この年は年間100冊以上は読んでいたと思います。それで応募原稿を書いて寺を手伝って...なんて、一体どうやっていたんでしょうね(笑)。
その頃は現代小説について詳しくなかったので、流行作家から読んでいったんです。でも勉強という感じではなくて、素直に楽しんでいました。北村薫さん、米澤穂信さん、道尾秀介さん、伊坂幸太郎さん、乙一さん、奥田英朗さん、宮部みゆきさん、綾辻行人さん、恩田陸さん...。「このミス」のランキングも参考にしていました。

――すでにお名前が挙がった方以外の方々は、どんなものを読まれていたのですか。

岡崎:道尾さんはどれを読んでも面白いという印象でした。その頃出ていた『ラットマン』もすごく好きでした。最近の本ですけれど『透明カメレオン』は特別よかったです。伊坂幸太郎さんは最初の『オーデュボンの祈り』から順番に読んでいくような感じで、『重力ピエロ』とか『アヒルと鴨のコインロッカー』とか『チルドレン』がすごく好きで。でも『死神の精度』も好きだし、どれを読んでも本当に面白かったですね。
奥田さんは文章が読みやすいんですよ。ストレスなく読めるというか。抽象性の高い文章をかく方ではないし、テンポもいいというか。やっぱり伊良部シリーズはすごく面白かった。好きなのは『家日和』とか『我が家の問題』とか。

――家族問題の短篇集のシリーズですよね。1冊に1篇だけ、毎回同じ家族が出てくる。

岡崎:1冊目に出てきた奥さんが2冊目でいきなりマラソンを始めてましたよね。あれは本当にハッピーエンドの読後感のよさがすごく好きです。『最悪』や『無理』も読んでいますが、奥田さんはほんわかした作品のほうが好きですね。

――さて、2011年に『珈琲店タレーランの事件簿』でこのミステリーがすごい!大賞の最終選考に残り、1年くらい後で「隠し玉」として文庫で刊行され、ベストセラーとなりましたよね。本になるまで時間がかかっているのは。

岡崎:中盤の展開が重たかったので、枠を残したままで書き換えることになり、それが難しくて時間がかかったんです。応募作は続篇が出るような仕様にはなっていなかったんですが、編集者から「あわよくば続篇を作れる感じの終わりにしてくれ」と言われて、ああいう形に書き換えて。出た瞬間、結果として売れたので「すぐに続篇を」という話になりました。

――デビューしてプロになって、生活や読書の傾向に変化はありましたか。

岡崎:読書の変化はすごくあったんです。一時的に読む量がすごく減りました。本当にいっぱいいっぱいで。2010年に年間100冊くらい読んでいて、次の年も80冊くらいは読んでいるはずなんですけれど、その次が確か30数冊しか読めていない。それくらい余裕がなくなってしまったんです。
ただ、2014年に連城三紀彦さんの『恋文』を読んで衝撃を受けたんです。これは今でも自分にとってとっても理想的なミステリー短篇集です。すべての短篇が日常のささやかな謎を描いていて、アイデアがいかにも現実にありそうで、自分でも思いつきそうで、でも思いつかないという、そのバランスが素晴らしいです。離婚届、口紅、五枚の写真といった、アイテムの使い方がうまくて。犯罪を描かず、奇手を用いずに、あれだけ心を揺さぶるのは本当にすごい。僕は「私の叔父さん」がオールタイムベスト短篇だと思っているんです。
連城さんもなかなか多くは読めていませんが、特別な作家さんのひとりですね。『戻り川心中』ばかり評価されがちですが、もちろんあれも大変な傑作ですが、僕はすべてがさりげなく美しく完成された『恋文』に、より深い感動をおぼえますし、自分の目指す小説の理想形を見ます。

――その後、東京に越してらしたんですよね。

岡崎:一昨年の暮れに来たので、2年になります。単純に仕事が忙しくなって、だんだん寺の手伝いもできなくなっていった頃、ちょうど弟が仕事を辞めまして。今、弟が坊さんをやっています。そうしたら僕はあまり福岡にいても意味がないというか。東京にいたほうが仕事がしやすいだろうと思ってこちらに来ました。だから、デビューから急展開でしたね。あっという間です。最初は体調を崩しまくったんですが、今はだいぶ東京にもなじんできたかなという感じがありますね。

――読書に変化はありましたか。

岡崎:東京に越したことと直接関係があるわけではないんですけれど、結構、電子書籍の割合が増してきていて。より短い時間でもどんどん本を読むようになっていますね。福岡にいた時は電車移動なんて天神と博多に行く時くらいしかなかったんですが、どちらも電車で10分くらいなんです。でも東京だと30分くらい電車に乗っていることって普通にありますよね。1駅2駅乗っている間だけ、しかも人が多かったりするなかで紙の本を開くのは手間だったりするけれど、スマホのkindleアプリで読んだりしていて。それでちょっとずつ本を読む量が増えたりしています。

――最近はどういう本を?

岡崎:資料が結構増えまして。デビューした頃ってやっぱり小説を書くのに必死だから、意識的にあまり自分が知らないことを書くのは止めようと思っていたんです。そういうものはちょっと力がついてからでいいんじゃないかと思っていて。なので最低限、「タレーラン」ならコーヒーのことは調べるくらいに留めておいたんです。最近はもうちょっと資料を読んで幅を広げようと思い、そのために読むものが増えました。それに、たとえばトークイベントがあったら一緒に出る作家さんの本は事前に読みますし、文庫解説を頼まれたらその本だけでなく、その作家さんの他の本も読みますし、そういう読書も増えました。

  • 我が家の問題 (集英社文庫)

    『我が家の問題 (集英社文庫)』
    奥田 英朗
    集英社
    605円(税込)

  • 最悪 (講談社文庫)

    『最悪 (講談社文庫)』
    奥田 英朗
    講談社
    946円(税込)

  • 無理

    『無理』
    奥田 英朗
    文藝春秋
    2,052円(税込)

  • 戻り川心中 (光文社文庫)

    『戻り川心中 (光文社文庫)』
    連城 三紀彦
    光文社
    576円(税込)

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