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図書カード使い放題?!

もし手元に自由に使える3万円の図書カードNEXTがあったら、あなたならどんな本を買いますか?
このコーナーでは、そんな夢のような話を作家さんに体験していただき、どんな本を選んだかを大公開!
図書カードNEXTで本を選ぶ楽しみをあなたも疑似体験してください。

第69回:佐藤厚志さん

職場を隈なくお買い物
<プロフィール> 佐藤厚志(さとう・あつし)
1982年宮城県仙台市生まれ。東北学院大学文学部英文学科卒業。仙台市在住、丸善 仙台アエル店勤務。2017年第49回新潮新人賞を「蛇沼」で受賞。2020年第3回仙台短編文学賞大賞を「境界の円居(まどい)」で受賞。2021年「象の皮膚」が第34回三島由紀夫賞候補。2023年「荒地の家族」で第168回芥川龍之介賞を受賞。これまでの著作に『象の皮膚』『荒地の家族』(新潮社刊)がある。

 今月の図書カード3万円お買い物は作家にして現役書店員の佐藤厚志氏が登場! 画集に海外文学、文庫から映画本まで、自らの職場を隅々まで見て社割なしで買った16冊はこれだ!
(2023年3月某日 於丸善仙台アエル店)

  2月某日、僕は「新潮社クラブ」にいた。作家がカンヅメになって執筆したり、対談をしたりする施設である。芥川賞受賞直後で、仙台から上京する機会にまとめて取材対応していた。午前中にラジオの収録があり、午後にひたすら取材を受け続け、夜は書店向けの色紙を書いた。昼飯は新潮社の社食、夜は出前。軟禁である。魂が口から抜け出て畳に横になっている時、編集者から「こんな仕事がきた」と夢の「図書カード3万円使い放題!」の依頼書を渡され、息を吹き返したのだった。
 さて枕はこのくらいで、買い物の話を始めよう。書店員なので、ある種の強制力を感じて職場である丸善仙台アエル店で本を選ぶ。駅前ビルの広々した1階ワンフロア。もちろん社割は使いませんよ。退勤後、選書スタート。

佐藤厚志さんが図書カードNEXTで購入した本

著書 著者/出版社 価格(税込)
『諏訪敦作品集 眼窩裏の火事』 発行カルチュア・コンビニエンス・クラブ、発売美術出版社 ¥5,280
『ホワイトノイズ』 ドン・デリーロ、都甲幸治、日吉信貴訳/水声社 ¥3,300
『郵便局』 チャールズ・ブコウスキー、都甲幸治訳/光文社古典新訳文庫 ¥1,100
『テュルリュパン ある運命の話』 レオ・ペルッツ、垂野創一郎訳/ちくま文庫 ¥990
『怠惰の美徳』 梅崎春生、荻原魚雷編/中公文庫 ¥990
『ぼくのミステリ・マップ 推理評論・エッセイ集成』 田村隆一/中公文庫 ¥1,320
『章説 トキワ荘の青春』 石ノ森章太郎/中公文庫 ¥880
『ベッドタイムアイズ/指の戯れ/ジェシーの背骨』 山田詠美/新潮文庫 ¥693
『時の旅人』 アリソン・アトリー、松野正子訳/岩波少年文庫 ¥990
『ババウ』 ディーノ・ブッツァーティ、長野徹訳/東宣出版 ¥2,750
『壁の向こうへ続く道』 シャーリイ・ジャクスン、渡辺庸子訳/文遊社 ¥2,750
『直木賞をとれなかった名作たち』 小谷野敦/筑摩書房 ¥2,090
『ショットとは何か』 蓮實重彥/講談社 ¥2,420
『オーデュボンの鳥  『アメリカの鳥類』セレクション』 ジョン・ジェームズ・オーデュボン/新評論 ¥2,200
『ドイツ怪談集』 種村季弘編/河出文庫 ¥1,100
『灯台へ』 ヴァージニア・ウルフ、御輿哲也訳/岩波文庫 ¥1,122
合計 16冊 ¥29,975

それでは各書籍について、購入の背景をじっくりと伺いましょう。

購入の背景について

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