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図書カード使い放題?!

もし手元に自由に使える3万円の図書カードNEXTがあったら、あなたならどんな本を買いますか?
このコーナーでは、そんな夢のような話を作家さんに体験していただき、どんな本を選んだかを大公開!
図書カードNEXTで本を選ぶ楽しみをあなたも疑似体験してください。

第63回:新井素子さん

重さを気にせずお買い物
<プロフィール> 新井素子(あらい・もとこ)
1960年、東京都生れ。立教大学文学部卒業。都立高校2年生のとき、「あたしの中の……」が第一回奇想天外SF新人賞佳作に入選、星新一氏の強い推薦で作家デビュー。1981年「グリーン・レクイエム」、1982年「ネプチューン」で2年連続の星雲賞日本短編部門受賞。1999年『チグリスとユーフラテス』で日本SF大賞受賞。『星へ行く船』『ひとめあなたに…』『結婚物語』『この橋をわたって』『絶対猫から動かない』など、著書多数。

 今月は新井素子さんが図書カード3万円お買い物に挑戦!"本中"の新井さんが漫画全巻大人買いから地図帳、料理本、生物学関連本に文芸書まで、思うさま買った35冊はこれだ!
(2022年2月8日 於ジュンク堂書店池袋本店)

3万円分の図書券で、本、買い放題!
 この企画を聞いた時、夢かと思った。そんな、私にとって都合のいい企画、あっていいの?

 私は、普段、かなりの勢いで本を買う。というのは......朝、起きた時、読める本がないと息苦しくなっちゃうくらい、私は本に依存しているから。特に、苦手な家事をやる時は、あらかじめ自分にご褒美として、「レンジの汚れを落としたら、この本一章分読んでいい」「この焦げついた鍋を洗い終えたら、次の一章、読んでいい」ってやっている。人参に向かって走っている馬、だ。(子供の頃、宿題はこれで片づけていた。算数のドリルが終わったら、この本一章読んでいい、続きの章が読みたければ、書き取りを終えてから......って具合に。こうでもしないと、宿題なんて絶対に片づかない。)
 アル中とか薬中って言葉があるのなら、私は本中だよね。ま、本の場合、普通は依存性がないって思われているし(でも、ある)、違法でも何でもないので、取り締まりの対象になっていないだけで。読める本がないと呼吸がままならなくなってしまう私は、絶対に本中だと思う。
 とはいうものの。
 旦那が定年になってからというもの、中々、本を買うのが大変になったのだ。というのは......定年になった旦那は、毎日うちで三度三度御飯を食べるから。これは......食材を買うのが、すっごく大変。
 この季節だと、みかんなんか、1日3、4個は食べちゃう。で、普通のみかんは、6個から7個くらいで大きなパックになっていて、これ買っちゃうと、割とかさばる。お米なんて、以前は2キロを買っていたんだけれど、今では5キロだ。だって、旦那が毎日いるのなら、2キロなんて、あっという間になくなっちゃうんだもん。これに、タマネギとかじゃがいもとか、よく使う野菜、白菜やキャベツみたいなでかい野菜を買ってしまうと......これだけですんごい重たいの。
 しかも、かさばる。みかんとキャベツを買ったら、私の買い物バッグの中にはもう余地が殆どなくて(しかも、もっと別の野菜が、肉や魚が、調理必要要員として、私のバッグにはいってくる。時には、醤油だの油だの、かさばる上に重たいものが必要になることもある)......こうなると、ハードカバーの本は、どんなに買いたくても、はいらない。
 同じ理由で、買えないのが、漫画だ。
 いや、大体の場合、漫画は軽いんだが......こいつらには"量"がある。映画なんかで、原作が漫画のものがあり、映画を見た後、「あ、これ、読みたい」って思っても......なんと、原作、20冊もあったり。ずっと読んでいた漫画が面白かったから、その作家の過去の作品を読もうと思ったら、やっぱり結構な冊数があったり。
 いや、2、30冊くらい、買ってもいいんだけれど。問題なのは、日々の食材をバッグにいれた後、それだけの本がバッグには絶対にはいらない、この事実だ。
 私は非力だからなあ。うちには車がないからなあ。旦那を買い物要員として動員したって、どうしたって、重量とかさは、とても大きな問題だ。
 現状、主に文庫しか本を買えない理由として、重量とかさが問題になるって......何か、情けない。

 ところが! 今回の場合、3万円分の図書カードを使っていいのだ!
 ここで思い出したのが、数年前の夏。その時は、旦那の仕事の関係か何かで、夏休みに、旅行ができなかった。その分、少し家計にゆとりができたので、思いっきり本を買おう!って言葉と共に、私と旦那は本屋さんに行った。そこで、思うさま本を買い、気がつくと1万円を軽く超えていた。
 そしたらっ! 何とっ!
 この本屋さんには、本を1万円以上買った場合、無料でその本を配送してくれるサービスがあったのだ。
 うおおおお。
 本を買った時、一番問題になるのが、「どうやってその本をうちに持って帰るのか」なのに。この本屋さんで1万円以上買った場合は、無料配送なのか。
 と、いう訳で。今回の舞台は、ジュンク堂書店池袋本店、です。(いや。このサービス、他にもやっている書店さん、あるような気もする。ただ、私が知っていたのが、ジュンク堂池袋本店だったので。)

 本屋さんにはいってすぐ、私、編集の人に宣言。
「まず、最初に漫画の処へ行きます。ここで、大人買いして、次は地図。その後は、お料理本。それから、生物学の処かな。で、まだ、3万円にゆとりがあったら、文芸のハードカバー、いきたいと思います」

新井素子さんが図書カードNEXTで購入した本

著書 著者/出版社 価格(税込)
『約束のネバーランド』全20巻 白井カイウ原作、出水ぽすか作画/集英社 ¥9,724
『プラネテス』全4巻 幸村誠/講談社 ¥3,198
『プレミアム アトラス 世界地図帳 新訂第4版』 平凡社編/平凡社 1,650
『BRUNOホットプレート魔法のレシピ100』 イデアインターナショナル監修、黄川田としえ、阪下千恵、柴田真希料理/日本文芸社 ¥1,320
『すぐに作れる「あと一品!」』 藤井恵/成美堂出版 ¥1,100
『dancyu 日本一の卵レシピ[愛蔵版]』 プレジデント社 ¥1,100
『基本調味料で作る体にいいスープ』 齋藤菜々子/主婦と生活社 ¥1,485
『ビジュアル「奇怪」生物図鑑200種』 森昭彦監修/秀和システム ¥2,200
『えげつない! 寄生生物』 成田聡子/新潮社 ¥1,430
『同志少女よ、敵を撃て』 逢坂冬馬/早川書房 ¥2,090
『おわかれはモーツァルト』 中山七里/宝島社 ¥1,760
『不村家奇譚 ある憑きもの一族の年代記』 彩藤アザミ/新潮社 ¥2,200
『未踏の蒼穹』 ジェイムズ・P・ホーガン、内田昌之訳/創元SF文庫 ¥1,320
合計 35冊 ¥30,577

それでは各書籍について、購入の背景をじっくりと伺いましょう。

購入の背景について

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