もし手元に自由に使える3万円の図書カードNEXTがあったら、あなたならどんな本を買いますか?
このコーナーでは、そんな夢のような話を作家さんに体験していただき、どんな本を選んだかを大公開!
図書カードNEXTで本を選ぶ楽しみをあなたも疑似体験してください。
第50回:重松清さん
- 学生たちと本棚めぐり
- <プロフィール>
重松清(しげまつ・きよし)
1963年、岡山県生れ。出版社勤務を経て執筆活動に入る。1991年『ビフォア・ラン』でデビュー。1999年『ナイフ』で坪田譲治文学賞、同年『エイジ』で山本周五郎賞を受賞。2001年『ビタミンF』で直木賞、2010年『十字架』で吉川英治文学賞、2014年『ゼツメツ少年』で毎日出版文化賞を受賞。著書は他に、『流星ワゴン』『疾走』『その日のまえに』『きみの友だち』『カシオペアの丘で』『せんせい。』『たんぽぽ団地のひみつ』『どんまい』『木曜日の子ども』など多数。
今月の図書カード3万円お買い物コーナーは重松清氏がゼミ一期生2人と共に挑戦! 東京古地図に制服百年史、もういちど読む世界史教科書まで、「街を歩き、街を描く」重松ゼミの副読本として買った15冊は何だ!?
(2019年3月28日 於ジュンク堂書店池袋本店)
2016年から、早稲田大学の文化構想学部で教壇に立っている。任期付き教員である。当初の契約では今年3月でお役御免となるはずだったのだが、若い人たちと付き合うのは予想していた以上に刺激的で、任期を2年延長し、昨年度からはゼミも開設した。
今回のお買い物企画には、ゼミ一期生の有志2名に同行してもらった。せっかくだからこの図書カードで重松ゼミの副読本を買っちゃおうぜ、という目論見である。
新年度最初のゼミを翌週に控えた3月28日、就活の合間を縫って池袋・ジュンク堂書店に駆けつけたのは、モリカワくんとセキモトくん──以降は敬称略。2人ともスリムで背が高い。手や脚も長く、頭は小さく、いかにもいまどきの若者である。そんな彼らとともに56歳の僕が書店の棚を渉猟する様子は、黄門さまと助さん格さん、いや、アンガールズを左右に従えた出川哲朗を思い浮かべていただければよろしい。
さて、2018年に始まり21年に閉じるゼミの主題は「街を歩き、街を描く」こと。改元と五輪開催という大きな節目を挟んだ東京の街を、若い世代の目と足で感じ取り、文章にしよう、というゼミである。ゼミ生の作品を集めると現代版の『大東京繁昌記』ができあがってくれれば、と願っている。
モリカワもセキモトも、昨年度の1年間、たっぷり街を歩き、たっぷり文章を書いてきた。街歩きの要諦はわかっているはずである。4月からゼミに加わる後輩たちに読ませたい本を選んでもらうと──。
重松清さんが図書カードで購入した本
著書 | 著者/出版社 | 価格(税込) |
---|---|---|
『古地図で歩く江戸と東京の坂』 | 山野勝/日本文芸社 | ¥1,728 |
『東京の道事典』 | 吉田之彦、渡辺晋、樋口州男、武井弘一編/東京堂出版 | ¥3,024 |
『江戸・東京の事件現場を歩く 世界最大都市、350年間の重大な「出来事」と「歴史」』 | 黒田涼/マイナビ出版 | ¥1,188 |
『ニッポン制服百年史 女学生服がポップカルチャーになった!』 | 森伸之、内田静枝/河出書房新社 | ¥1,998 |
『行ってはいけない! 山手線ディープ案内』 | 首都圏裏町探検隊/マイクロマガジン社 | ¥1,512 |
『もういちど読む山川日本戦後史』 | 老川慶喜/山川出版社 | ¥1,620 |
『新 もういちど読む山川世界史』 | 「世界の歴史」編集委員会/山川出版社 | ¥1,728 |
『NHKニッポン戦後サブカルチャー史』 | 宮沢章夫、NHK「ニッポン戦後サブカルチャー史」制作班編著/NHK出版 | ¥1,944 |
『生活者の平成30年史 データでよむ価値観の変化』 | 博報堂生活総合研究所/日本経済新聞出版社 | ¥2,160 |
『サザエさんをさがして』 | 朝日新聞be編集部編/朝日新聞出版 | ¥1,028 |
『家族終了』 | 酒井順子/集英社 | ¥1,512 |
『コンプレックス文化論』 | 武田砂鉄/文藝春秋 | ¥1,620 |
『伊丹十三選集』全3巻 | 伊丹十三/松家仁之、中村好文、池内万平編/岩波書店 | ¥10,692 |
合計 15冊 ¥31,754 |
それでは各書籍について、購入の背景をじっくりと伺いましょう。