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図書カード使い放題?!

もし手元に自由に使える3万円の図書カードNEXTがあったら、あなたならどんな本を買いますか?
このコーナーでは、そんな夢のような話を作家さんに体験していただき、どんな本を選んだかを大公開!
図書カードNEXTで本を選ぶ楽しみをあなたも疑似体験してください。

第31回:中山可穂さん

すべては健さんのせい
<プロフィール> 中山可穂(なかやま かほ)
1960年生まれ。早稲田大学教育学部英語英文科卒。93年『猫背の王子』でデビュー。95年『天使の骨』で朝日新人文学賞、2001年『白い薔薇の淵まで』で山本周五郎賞を受賞。その他の作品に『マラケシュ心中』『弱法師』『ケッヘル』『サイゴン・タンゴ・カフェ』『悲歌』『愛の国』など。研ぎ澄まされた文体、深い叙情性、幻想的イマジネーションといった独特の作風で、読者の熱い支持を集めている。

 「3万円分の図書カードで好きな本を買ってお買い物レポートを書いてください」という企画は、一見すると夢の企画のようだが、頭の中の欲望を覗き見られるような恥ずかしさがあり、わたしには何かの罰ゲームのように居心地が悪い。しかしもちろん、好きな本を買えるのは嬉しいし、文章を書けるのはもっと嬉しい。昨年出した『愛の国』以降、創作意欲が本格的に戻って、どんな文章でも書くのが嬉しくてたまらず、とにかく何か書きたくて仕方なく、切実に発表の場に飢えているというデビュー当時の頃のような心境なので、有り難くお受けした。
 それにもうひとつ理由がある。実は、本屋さんがちょっと苦手だった。どこへ行ってもわたしの本が置いてないからである。そのうち本屋さんへ行っても自分の本を探さなくなってしまい、本はもっぱらネットで買うようになった。だが最近、本屋さんと書店員さんたちが好きになる出来事があった。2月に出した新刊『男役』刊行記念に有志の書店員さんたちが中山可穂応援フリーペーパーを作ってくださったのだ。そのおかげもあって『男役』は悲願の重版がかかった。重版なんて、『白薔薇』以来ではなかろうか。これもひとえに、かなり深刻な絶滅危惧種である中山を絶滅から救わねばとリアルな危機感を持ってくださっている書店員さんたちのお力の賜物と感謝している。そのご恩に少しでも報いるためにも、お店でパーッと(と言っても3万円ですが)本を買おうではないか、ということで、『男役』パブリシティのため上京した際にお買い物取材をおこなった(普段は洛北の山中に住まいしており、上京することはめったになく、ごくまれに東京に来ると電車の乗り換えで迷子になってしまう)。

中山可穂さんが図書カードで購入した本

著書 著者/出版社 価格(税込)
『憂魂、高倉健』 横尾忠則編/国書刊行会 ¥16,200
『近松門左衛門名作文楽考(2)心中天網島』 豊竹咲大夫、尾嵜彰廣著/講談社 ¥4,104
『山口組組長専属料理人 側近が見た渡辺五代目体制の16年』 木村勝美著/メディアックス ¥1,620
『バルのスペイン語』 秦真紀子著/三修社 ¥1,620
『ことり』 小川洋子著/朝日新聞出版 ¥1,620
『哲学者とオオカミ 愛・死・幸福についてのレッスン』 マーク・ローランズ著、今泉みね子訳/白水社 ¥2,592
『亡命ロシア料理』 ピョートル・ワイリ、アレクサンドル・ゲニス著、沼野充義、北川和美、守屋愛訳/未知谷 ¥2,160
『ヤクザ1000人に会いました!』 鈴木智彦著/宝島sugoi文庫 ¥699
合計 8冊  購入総額 ¥30,615

それでは各書籍について、購入の背景をじっくりと伺いましょう。

購入の背景について

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