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第19回:坂木司さん

本友達とお買い物
<プロフィール> 1969年東京生まれ。2002年ひきこもり探偵・鳥井とその友人・坂木司が活躍する『青空の卵』でデビュー。著書に、同じく鳥井・坂木コンビ を描いた『仔羊の素』『動物園の鳥』のほか、『先生と僕』『ウィンター・ホリデー』『和菓子のアン』『大きな音が聞こえるか』などがある。

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【1】『踊り子魂』(ベストセラーズ)

『踊り子魂』

......なぜか最初に手に取ったのは、『踊り子魂』。ええ、あの『マツケンサンバ』で有名な真島茂樹さんの自伝です。いきなりの3。背後で見ていた松村さんと浅井さんが、声をそろえて「坂木さん、なぜ?」とつぶやきます。いやその、なんかひかれちゃったんですよ。だってこの方、プロレスラーっぽいから。
 芸能人や有名人を見ていて、ときどき「あ、この人プロレスラーっぽいな」と感じることがあります。上手くは言えないけれど、何かが過剰だったり、しかもその過剰が明らかにプラスとは思えないのに、それを貫いていたりすると、私の中のプロレスセンサーに引っかかるんです。ちなみに今までで一番「プロレスしてる!」と感じたのは叶恭子さんです。いやマジで。あ、それと『叶恭子の知のジュエリー12ヵ月』はいい本ですよ。おすすめです。
 ところで今気がついたのですが、真島さんも叶さんも言葉づかいが綺麗ですね。あと、誰かを貶めたり否定したりする雰囲気がない。そこもいいです。

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【2】『チンドン』(バジリコ)

『チンドン』

さて棚に戻って『チンドン』。これは2ですね。路上の商売に興味があったのですが、聞き書きの本はありがたい。ページをめくると「飴屋なんかもやったし」という一文が。これは和菓子を調べている自分にとって、ビンゴです。

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【3】『和菓子』(河出書房新社)

『和菓子』

和菓子といえば、今回「これだけは買う」と決めていたのが『和菓子』。今年の1月刊行という、タイムリーな本です。しかもお値段が3,800円! これはもう、この企画で買うしかないでしょう。

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【4】『児童文学キッチン』(講談社)

『児童文学キッチン』

お菓子つながりで『児童文学キッチン』。小林深雪さんの文で、福田里香さんの料理というのはいいですね。

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【5】『Busy Bees and Crazy Hedgehogs More Fun Food for Kids』(Frechmann)

『Busy Bees and Crazy Hedgehogs More Fun Food for Kids』

なんとなく児童書の付近を流していたら、浅井さんが「坂木さん、これ見て下さい!」と洋書を差し出しました。ん?『Busy Bees and Crazy Hedgehogs』? よく見てみると、副題として『More Fun Food for Kids』の文字が。これ、外国のキャラ弁的な物ですかね? しかし中を開いてみると─結構、雑やないかーい。ああこれなら私でも作れそうですよ。だってトーストに三角チーズ立てて「ヨット」とかって(笑)。

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【6】『今日も朝からたまご焼き』(メディアファクトリー)
【7】『世界の市場』(国書刊行会)
【8】『ギャンブルイーター』(結構人)

『今日も朝からたまご焼き』『世界の市場』『ギャンブルイーター』

実は座業で普段ひきこもり気味なせいか、お弁当に憧れがあります。というわけでお弁当エッセイマンガ『今日も朝からたまご焼き』も。そして食つながりで、『世界の市場』。魔術用のハーブを売る店なんかも載っていて、世界はまだまだ広いなあと遠い目になります。あ、それからずっと気になってた雑誌『デウスエクスマキな食堂』の公営ギャンブル場グルメガイド特集はいっとかないと。「飲む打たないけどひたすら食う!」ってコピー、いいですねえ。

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【9】『長崎おいしい歳時記』(書肆侃侃房)
【10】『雲のうえ 一号から五号』(西日本新聞社)

『長崎おいしい歳時記』『雲のうえ 一号から五号』

おっと、壁際にあるのは全国都道府県別の地元出版社コーナー。まず『長崎おいしい歳時記』を手に取っていると、またもや浅井さんが「これ、いいですよ~」と『雲のうえ 一号から五号』を。こちらは北九州のミニコミ誌をまとめたもの。確かに写真がきれいで、おいしそうな記事もいっぱいです。自分の知らない食材や料理が出てくると、それだけでわくわくしますね。

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【11】『新御馳走帖』(河出書房新社)

『沢村貞子の献立日記』

実は浅井さんと私は、「食に関する本友達」です。「『地上の飯』はいいですねえ」「『毛沢東の赤ワイン』はもう読みました?」などなど、そっち方面のオタトークを日夜繰り広げているので、彼女は私の好きそうな本がわかるというわけ。だからセール本のところに『新御馳走帖』があったときには、二人でひゃあひゃあ言ってしまいました。なんでこんな素敵な本が値下げされてるんですか? ちょっと折れてたりするから? ていうか買わなきゃ! だって私の食に関する文章の師匠は、嵐山光三郎さんなのですから(石田千さんとは違い、勝手に脳内で弟子になりました)。というわけで『素人庖丁記』は名著ですので、食の本好きな方はぜひご一読を。

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【12】『追跡! 私の「ごみ」』(日本放送出版協会)

『追跡! 私の「ごみ」』

食も好きですが、最近はそこからちょいと足を伸ばして、「その後」も気にしています。なので『追跡! 私の「ごみ」』を。本当は漂着ゴミに関するものも欲しかったのだけれど、これといった本が見つからず断念。

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【13】『ハルムスの小さな船』(長崎出版)
【14】『秘密基地の作り方』(飛鳥新社)

『ハルムスの小さな船』『秘密基地の作り方』

通りがかって「お、綺麗だな」と思ったのは『ハルムスの小さな船』。しかし内容はシュール。おかしなマザーグースみたいな味わいです。これは明らかな3。出会い物です。そういえば、『秘密基地の作り方』も出会い系ですね。『団地ともお』が好きな自分としては、素通りできない何かを感じてしまいました。しかし中を見てびっくり。えーと、私かなりやってましたわ。秘密基地。大きな排水口から入って中をたどったり、段ボールでおかしなもの建ててたり(笑)。

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【15】『世間遺産放浪記』(石風社)

『世間遺産放浪記』

おかしな建物といえば『世間遺産放浪記』。はい、『世界』ではなく『世間』です。農業用の小屋が、水車が、なんとシュールでアヴァンギャルドなことか。自分一人では絶対に見られない景色の集大成。しかも用の美。いい本です。

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【16】『トコトンやさしい 気象の本』(日刊工業新聞社)
【17】『お天気養生訓』(IDP新書)

『トコトンやさしい 気象の本』『お天気養生訓』

そういえば今回、資料として買っておこうと決めていたジャンルがあります。それは「気象」。でも気象に関する本って、当たり前に理系な横書きが多いんですね。空気の膨張の数式とか、雷発生のグラフとか、はああ。こういうの、歯科衛生士ものを書いたときに懲りたんじゃなかったっけ。あのときは、受験レベルで歯科衛生学の本を読んでた気がします。バリバリ文系のくせに。
もしかして気象に手を出すのはやめておいた方がいいのかな。私がどんよりしていると、松村さんが声をかけてくれました。
「坂木さん。気象に関して、どんなタイプの本がいいんですか?」
「ええと、できれば縦書きで、ものすごくわかりやすそうなものですかね」
 その会話を聞いていた浅井さんが、棚から一冊の本を引き抜きます。
「この『トコトンやさしい 気象の本』ってどうですか?」
 おお。タイトルに偽りなく、わかりやすそう! しかも図以外は縦書き!
 ついでに隣の『お天気養生訓』も入れときます。
「え? 養生訓、ですか......?」
 へえ。私、気象が身体に及ぼす影響とか、気になるんですわ。もう歳だもんだで。じゃなくて、低気圧で頭痛くなったりとかするのが「気象病」って言うの知ってましたか? それと迷信みたいな気象予報(ツバメや猫のあれ)を組み合わせると、面白い話が書けそうな気がしませんか。しないか。。

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【18】『タネが危ない』(日本経済新聞出版社)

『タネが危ない』

おっと、最後の資料本として『タネが危ない』も欲しいです。種苗店の方が書いた本ですが、面白そうです。これは食の発端としての興味です。

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【19】『黒娘』(講談社ノベルス)

『黒娘』

あっ。3階を通ったら田口さんと小海さんがいらっしゃいました。いつもお世話になっております、などとご挨拶しているうちに、欲しかった本を思い出してしまいました。
「あのう、牧野修さんのノベルスで、ゾンビレベルにぐちゃぐちゃで強い女性が出てくるやつって、なんでしたっけ?」 「......ちょっとお待ち下さい」
 ごめんなさいごめんなさい。でも、見事に探し当てて下さいました。『黒娘』です。これ、読みたかった! 小説ですが、近所の本屋さんは新刊以外のノベルスを置いていないので、よしとしましょう。

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2時間ちょっと歩き回ったので、カフェに腰を落ち着けて計算。実はもっとたくさんの本が、カゴに入っていたので泣く泣く間引き作業に入りました。ああ、やっぱり『みさおとふくまる』は買っておけばよかった。内容は知ってるけど、あの写真集、プレゼントにあげたい人がいる。あ、でもそれこそ自費で買うべきだな。
 やってみてわかったこと。3万円は、案外すぐに超えてしまう。本好きの編集さんを巻き込むと、その人がつられて大量に本を買ってしまう(ごめんなさい)。本好きの人と本屋さんをうろうろするのは、もう本当に楽しい。
 翌日届いた宅配便は、まさに宝の山でした。

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