もし手元に自由に使える3万円の図書カードNEXTがあったら、あなたならどんな本を買いますか?
このコーナーでは、そんな夢のような話を作家さんに体験していただき、どんな本を選んだかを大公開!
図書カードNEXTで本を選ぶ楽しみをあなたも疑似体験してください。
第13回:堀江敏幸さん
- 息は足りていた
- <プロフィール> 1964年、岐阜県生れ。1999年『おぱらばん』で三島由紀夫賞、2001年「熊の敷石」で芥川賞、2003年「スタンス・ドット」で川端康成文学賞、2004年同作収録の『雪沼とその周辺』で谷崎潤一郎賞、木山捷平文学賞、2006年『河岸忘日抄』、2010年『正弦曲線』で読売文学賞を受賞。おもな著書に、『郊外へ』『いつか王子駅で』『めぐらし屋』『バン・マリーへの手紙』『アイロンと朝の詩人―回送電車III―』『未見坂』『彼女のいる背表紙』『書かれる手』ほか。
ぶらつきの参考にと、まずは毎日新聞の連載をまとめた赤瀬川原平の散策エッセイ『東京随筆』を選ぶ。
どうでもいいことだが、いま原稿用紙の下書きをワープロで浄書しようとしたら、「あかせがわげんぺい」が一度で変換できなかった。「おつじかつひこ」は可能なのに、学習されていないということは、これまで赤瀬川原平という文字を打ち込む機会がなかったのだろうか。そんなはずはない。しかし、一括変換を試みると「赤瀬川源平」になって、時代はひと息に治承・寿永の乱の十二世紀にさかのぼってしまうのだ。仕方がないので「源平」を消して「はらたいら」と入力してやったら、みごと「原平」が画面に現れた。テレビの競馬中継を観ていて、いまだ3枠が輝いて見えるのは、まちがいなく「クイズダービー」の影響である。
堀江敏幸さんが図書カードで購入した本
著書 | 著者/出版社 | 価格(税込) |
---|---|---|
『東京随筆』 | 赤瀬川原平/毎日新聞社 | ¥1,890 |
『ジュージュー』 | よしもとばなな/文藝春秋 | ¥1,155 |
『家出の道筋』 | ジョルジュ・ペレック、酒詰治男訳/水声社 | ¥2,625 |
『露西亜文学 (復刻版)』 | 井筒俊彦/慶應義塾大学出版会 | ¥3,990 |
『ボヴァリー夫人』 | ギュスターヴ・フローベール、山田ジャク訳/河出文庫 | ¥1,155 |
『感情教育』上下 | ギュスターヴ・フローベール、山田ジャク訳/河出文庫 | ¥1,784 |
『逃避めし』 | 吉田戦車/イースト・プレス | ¥1,460 |
『ジーノの家 イタリア10景』 | 内田洋子/文藝春秋 | ¥1,650 |
『トルコの詩』 | フズリ他、峯俊夫編訳/国文社 | ¥1,785 |
『蝉声 河野裕子歌集』 | 河野裕子/青磁社 | ¥2,800 |
『現代ウクライナ短編集』 | 藤井悦子、オリガ・ホメンコ編訳/群像社 | ¥1,890 |
『東京創元社文庫解説総目録』 | 高橋良平、東京創元社編集部編/東京創元社 | ¥5,250 |
『ハリウッド警察25時』 | ジョゼフ・ウォンボー、小林宏明訳/ハヤカワ・ミステリ | ¥1,575 |
『ハリウッド警察特務隊』 | ジョゼフ・ウォンボー、小林宏明訳/ハヤカワ・ミステリ | ¥1,680 |
合計 15冊 購入総額 ¥30,689 |
それでは各書籍について、購入の背景をじっくりと伺いましょう。