もし手元に自由に使える3万円の図書カードNEXTがあったら、あなたならどんな本を買いますか?
このコーナーでは、そんな夢のような話を作家さんに体験していただき、どんな本を選んだかを大公開!
図書カードNEXTで本を選ぶ楽しみをあなたも疑似体験してください。
第11回:円城塔さん
- 旅のついでに・・・
- <プロフィール> 1972年北海道生まれ。 2007年、短編「オブ・ザ・ベースボール」で第104回文學界新人賞を受賞。同作品で第137回芥川賞候補となる。同年、『Self-Reference ENGINE』で単行本デビュー。2010年、『烏有此譚』(講談社)で第23回三島由紀夫賞候補、第32回野間文芸新人賞受賞。
旅行中にも当たり前のように本を買ってしまう難儀な人というのがあって、自分もそうです。これが読んだ端から捨てたり交換して歩くなら、バックパッカーのような気軽さが漂いますが、結局持って歩きます。ついては、本に重さなどはないのであるという極端な立場へ走ったりして、思考と体は違うのだと、当然のところへ至ったり。
大阪に住んでいるのに渋谷で本を買い回る。特段深い理由などなく、たまたま用事で出ていただけです。人はそれくらい自由で良い、移動の中で暮らすべき、というほど大きな話ではないわけですが。渋谷の本屋さんにはそれは大層お世話になって、駒場にいた五年間、五年をおいてまた数年間、十年近くは通い続けた道であったりします。大盛堂が小さくなったり、ブックファーストが移動をしたり、MARUZEN&ジュンク堂が進出したりと、変わり続ける街と一緒にみんな悩んで大きくなったり小さくなったり。神田や早稲田、日本橋や新宿じゃなくて渋谷なの、という方もおありでしょうが、その場にいてしまったのだからそういうものです。
その気になれば全部回ってしまえるほどの渋谷の本屋さんではありますが、今回は自分の体力と相談し、ブックファースト渋谷文化村通り店→リブロ渋谷店→MARUZEN&ジュンク堂書店渋谷店と回ってみます。JRの駅を出てからくるりと輪を描く感じとなります。
円城塔さんが図書カードで購入した本
著書 | 著者/出版社 | 価格(税込) |
---|---|---|
『アライバル』 | ショーン・タン/河出書房新社 | ¥2,625 |
『ニーベルンゲンの歌』前後編 | 石川栄作訳/ちくま文庫 | ¥1,942 |
『音楽史を変えた五つの発明』 | ハワード・グッドール、松村哲哉訳/白水社 | ¥2,730 |
『ドクター・ラット』 | ウィリアム・コッツウィンクル、内田昌之訳/河出書房新社 | ¥1,995 |
『ユリシーズ』I~IV | ジェイムズ・ジョイス、丸谷才一、永川玲二、高松雄一訳/集英社文庫 | ¥4,800 |
『タティングレースの小さなアクセサリー』 | peikko/文化出版局 | ¥1,365 |
『そしてカバたちはタンクで茹で死に』 | ジャック・ケルアック、ウィリアム・バロウズ、山形浩生訳/河出書房新社 | ¥2,100 |
『口に出せない習慣、不自然な行為』 | ドナルド・バーセルミ、山崎勉、邦高忠二訳/彩流社 | ¥2,039 |
『西行百首』 | 塚本邦雄/講談社文芸文庫 | ¥1,575 |
『ロラン・バルト 中国旅行ノート』 | ロラン・バルト、桑田光平訳/ちくま学芸文庫 | ¥1,260 |
『妖説太閤記』上下 | 山田風太郎/講談社文庫 | ¥1,540 |
『アレクサンドルII世暗殺』上下 | エドワード・ラジンスキー、望月哲男、久野康彦訳/日本放送出版協会 | ¥4,830 |
『ザノーニ』I・II | E・ブルワ=リットン、富山太佳夫、村田靖子訳/国書刊行会 | ¥5,250 |
合計 20冊 購入総額 ¥34,051 |
それでは各書籍について、購入の背景をじっくりと伺いましょう。