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最新:綿矢りささん

欲しい本を見つけに
<プロフィール> 綿矢りさ(わたや・りさ)
1984年、京都府生まれ。2001年『インストール』で文藝賞を受賞しデビュー。04年『蹴りたい背中』で芥川龍之介賞受賞。12年『かわいそうだね?』で大江健三郎賞、同年に京都市芸術新人賞、20年『生のみ生のままで』で島清恋愛文学賞受賞。他の著書に『勝手にふるえてろ』『私をくいとめて』『オーラの発表会』『嫌いなら呼ぶなよ』『パッキパキ北京』など。

購入書籍No.   1234567-15

【1】『ひとりっぷ〈6〉 明日も世界の果てまで 香港の推し111編』(集英社)
【2】『[図説]台湾の妖怪伝説』(原書房)

『ひとりっぷ〈6〉 明日も世界の果てまで 香港の推し111編』『[図説]台湾の妖怪伝説』

 編集者さんお二人と共に本屋をぐるぐる回りながら、どの本を選ぶか常に見られている、こんな環境だとあまりに趣味に走りすぎた本は恥ずかしいわね、かといってカッコつけすぎて読みもしない小難しい本を買うのも本末転倒だわね、などと思いあぐねていたが、幸い私のヘキを知り尽くしている担当者さんが、あれどうですか、これどうですかと薦めてくれたので、途中から欲望のまま本選びに没頭することができた。そして気づけば台湾の食いものと旅行について書いた本ばかり買い物カゴに入っていたのである。台湾旅行の予定は今のところ無かったけど、行っちゃう?ねえ行っちゃう?!と本たちが誘ってくれてる気がする。香港のひとりっぷも手に入れて、香港からも誘いの手が......。台湾の妖怪辞典は京極夏彦先生の帯にひかれて購入。台湾のホラー映画はめちゃめちゃ恐いけど、なら妖怪もハンパ無いのだろうか。

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 今回お買い上げさせてもらった本はいくつかすでに読んだ。

【3】『愉快なる地図 台湾・樺太・パリへ』(中公文庫)

『愉快なる地図 台湾・樺太・パリへ』

 さっそく読んだのから1冊ずつ紹介していくと、まずは林芙美子の「愉快なる地図〜台湾・樺太・パリへ」。これは作者自身が中華圏の色んな場所に行ったときの紀行文の寄せ集めで、彼女は北京に行ったとき、伝説の京劇役者梅蘭芳に楽屋で会っている。梅蘭芳の住んでた瀟洒な屋敷はまだ北京に残っていて、私も行ったけど、生きてる梅蘭芳に会って、彼の手はふわふわに柔らかくて女の私の方が大きいから恥ずいみたいな感想も得て帰ってくるなんて、さすが林芙美子、旅に取りこぼしが無い。異国の地でもおいしいところをつまんで帰れる旅上手。

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【4】『はーばーらいと』(晶文社)

『はーばーらいと』

「はーばーらいと」の登場人物たちは、ちゃんと話す。こなれてる、とか、ニュアンスで伝える、とかじゃなく、人の心にまっすぐ届くしゃべり方をする。こんな風に人に向き合ってほしいし、自分も向き合いたい。真っ正面から。それでもすれ違ったりしてて、でも気持ちのボタンのかけ違いで起こった誤解とか、数奇な運命のせいとかじゃなく、ちゃんと向き合っても線路がずれてく感じなので、人それぞれの進む道の違いがくっきり見えてくる。

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【5】『大迫力!世界の危険生物大百科』(西東社)

『大迫力!世界の危険生物大百科』

「大迫力!世界の危険生物大百科」は危険生物好きの息子におみやげにした。内容に興味があるのはもちろんのことだが、危険生物についての知識を披露したときに返ってくる「げえっ、そんなヤバい生き物いるの」という周りの人たちの驚くリアクションも、彼にとってはたまらないのだろう。渡したとたん、読み始めていた。

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【6】『流浪地球』(KADOKAWA)

『流浪地球』

「流浪地球」は太陽が破裂寸前で地球を太陽系から脱出させちゃうという、とんでもない状況から始まるSFストーリーだが、同じ作者の超有名な「三体」もまだ読み終わってないのに、この本を読みたくなったのは、こちらが原作の「流転の地球」の1、2を観たからだった。「流転の地球1」ではまだまだ茶目っ気を残した内容だったけど、2では難儀してる地球をかなり真剣に想定していて、科学技術で対抗するも苦戦する様子は、シリアスすぎて、本当にこんな未来が来たらどうしようと背筋が凍る内容になっていた。本の方は映画で観たことのないシーンが続いて、本当に同じ作品なのかと少し混乱したが、人間が宇宙船で地球から脱出するんじゃなく、百世代分の年月をかけて地球ごと太陽系から脱出しちゃおう!というダイナミックなメインテーマは同じだった。
 私たちは地球を見捨てない、というか、どんだけ宇宙広くても、ほんまに地球でしか生きられへんねん、ワイらは。という人類の切なさがにじみ出る力作。木星の赤い肌が空を覆い尽くしてくシーン読んでると、ド迫力のパノラマスクリーン画面を見ているようで恐美しい。

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【7】『パワースポット・オブ・台湾 台湾の聖殿と神々を巡る旅』(玄光社)
【8】『味の台湾』(みすず書房)
【9】『涙を流し口から火をふく、四川料理の旅』(書肆侃侃房)
【10】『私をやめたい。でも今日くらいは笑ってみる』(フォレスト出版)
【11】『三つの名を持つ少女 その孤独と愛の記憶』(石風社)
【12】『なんくるない』(新潮文庫)
【13】『折りたたみ北京 現代中国SFアンソロジー』(ハヤカワ文庫SF)
【14】『東京凸凹散歩 荷風にならって』(亜紀書房)
【15】『大江戸坂道探訪 東京の坂にひそむ歴史の謎と不思議に迫る』(朝日文庫)
【16】『東京暗渠学 失われた川を読む・紡ぐ・愉しむ』(実業之日本社)
【17】『辺境メシ ヤバそうだから食べてみた』(文春文庫)

『パワースポット・オブ・台湾 台湾の聖殿と神々を巡る旅』『味の台湾』『涙を流し口から火をふく、四川料理の旅』『私をやめたい。でも今日くらいは笑ってみる』『三つの名を持つ少女 その孤独と愛の記憶』『なんくるない』『折りたたみ北京 現代中国SFアンソロジー』『東京凸凹散歩 荷風にならって』『大江戸坂道探訪 東京の坂にひそむ歴史の謎と不思議に迫る』『東京暗渠学 失われた川を読む・紡ぐ・愉しむ』『辺境メシ ヤバそうだから食べてみた』

 今日までで読んだのはこれだけ。まだたくさんの本たちが待ちかまえていて、1冊開く度にどんな世界が広がってるんだろうってワクワクする。とにかく楽しい企画だった。本買い放題企画はセルフでもこれから定期的に開催しようと思う。3万円ほど景気良くいけずとも、1万円ぐらいで。当たり前だけど、欲しい本は家に帰っても読みたくなる。自分の幅を広げるためにも、色んな本との出会いを大事にしたい。

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