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作家の読書道 WEB本の雑誌 Presents

WEB本の雑誌

作家自身は、どんな「本屋のお客」なんだろう?そしてどんな「本の読者」なんだろう?
そんな疑問を、作家の方々に直撃インタビューです。

又吉直樹さん:イメージ

第211回:又吉直樹さんお笑い芸人として活躍する一方で読書家としても知られ、発表した小説『火花』で芥川賞も受賞した又吉直樹さん。著作『第2図書係補佐』や新書『夜を乗り越える』でもその読書遍歴や愛読書について語っていますが、改めて幼少の頃からの読書の記憶を辿っていただくと、又吉さんならではの読み方や考察が見えてきて……。

その5「さらに読書にハマるきっかけ」(5/7)

正史 三国志〈1〉魏書 1 (ちくま学芸文庫)
『正史 三国志〈1〉魏書 1 (ちくま学芸文庫)』
陳 寿,裴 松之
筑摩書房
1,650円(税込)
不夜城 (角川文庫)
『不夜城 (角川文庫)』
馳 星周
角川書店
734円(税込)
檻 (集英社文庫)
『檻 (集英社文庫)』
北方 謙三
集英社
715円(税込)

――話が前後するかもしれませんが、高校卒業後、上京されてからは読書生活も変わりましたか。

又吉:量が増えました。上京してからの5~6年がいちばん本を読んだかもしれません。金がなかったので、古本屋の前のワゴンセールの文庫3冊100円といったものを買っていました。芥川とか太宰とか谷崎とか、全部読みたいんですけれど近所のワゴンだけでは揃わないので、いろんな古本屋を回っているうちに、だいたいどの本屋に何があってどういう扱いを受けていて、いくらで売っていてというのを憶え、作家の位置づけとか、今何が人気があるのかというのを学んでいきました。
 その時期に読書にハマったきっかけがもうひとつあって。18歳くらいの時に、自分でもちょっと書いてみようかなと思い、上京してすぐ原稿用紙を買ってきて頭ん中に浮かんだ物語を書いてみたんですよね。『三国志』くらい長くなるぞと思って書いたら、10枚で終わってもうて。「あれ、終わった」となって考えてみたら、あらすじ書きというか、プロットみたいなものにしかなってなくて。小説書くって難しいんや、と思いました。もちろんその時は小説家になりたいと思ってないです。思いついたから俳句作ってみようとか、短歌作ってみようとか、スケボーやってみよ、という軽いノリやったんですけれど書けなかった。
 それで、冒頭ってどうやって書いてあるっけと、自分の本棚にある太宰とか芥川とかの本を開いたら、今まで普通に読んでいたのに、冒頭の一行が光って見えたんですよね。「なんでいきなりここから入れてん」とか「なんでこの1行目を選べたんやろう」となって、そこから読書がすごく面白くなりました。それまでも本を読むことには慣れてきていたし、システム理解せんと自然に読めるもんやから読んでいたけれど、たとえば地の文から会話文になってそこからどう地の文に戻るのかなんかも、「なるほどこうなってんねや」というのが分かって、そこからすごく面白くなったんです。
 それまでは読んでいってだんだん主人公のことが分かって感情移入して、物語の展開の部分で「あ、やっと面白くなってきた」と感じたこともあったんですけれど、それ以降は本を開く前からもう始まっているみたいな感覚で、開いて1行目からずっと面白い、というふうになりました。それは実際に自分が書いてみようとしたからだと思います。

――読むものは純文学が多かったのですか。

又吉:どれがエンタメなのかあまり分かっていないんです。江戸川乱歩も好きで読んでいましたし...。便覧に出ていた作家の代表作を一通り読んで、そのなかから芥川、太宰、谷崎、漱石をもうちょっと読んでいこうとなり、その後で「今ってどうなってんのかな」と思って、現存している作家を読んでいきました。高校の時に浅田次郎さんを読みましたし、村上龍さん、町田康さん、村上春樹さん、古井由吉さん、大江健三郎さん、ねじめ正一さんを読み、そこから「ミステリやサスペンスってあんま知らんかったな」と思って、島田荘司さん、京極夏彦さん、宮部みゆきさんを読み。「ハードボイルドってなんやろう」と思って北方健三さんばかり読んでいた時期もありますし。東野圭吾さんをいっぱい読んでいた時期も、伊坂幸太郎さんや道尾秀介さんを読んでいた時期もありますね。角田光代さんも、西加奈子さんも好きやし。好きな作家が増えて、その人たちの最新作を全部読もうとしたら膨大な量になってしまうので、そうしているうちに純文が増えていったのかな......。

――今、ハードボイルドを読まれるというのが一番意外でした(笑)。

又吉:馳星周さんの『不夜城』とかも読みましたよ。北方さんは『檻』とか。「Hot Dog PRESS」に連載していた「試みの地平線」がめっちゃ好きでした。読者からの質問に「馬鹿野郎」とか答えていて、すげえなあっていう。

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