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作家の読書道 WEB本の雑誌 Presents

WEB本の雑誌

作家自身は、どんな「本屋のお客」なんだろう?そしてどんな「本の読者」なんだろう?
そんな疑問を、作家の方々に直撃インタビューです。

寺地はるなさん:イメージ

第202回:寺地はるなさん婚約を破棄されどん底にいた女性が、ひょんなことから雑貨屋で働くことになって……あたかい再生の物語『ビオレタ』でポプラ社小説新人賞を受賞、以来、現代人の心の沁みる小説を発表し続けている寺地はるなさん。幼い頃は親に隠れて本を読んでいたのだとか。読書家だけど小説家を目指していたわけではなかった寺地さんが小説を書き始めたきっかけは? 読むことによって得た違和感や感動が血肉となってきたと分かる読書道です。

その5「小説を書いたきっかけ」(5/7)

――ではポプラ社小説新人賞に応募された経緯はどうだったのでしょうか。自分で小説を書いてみたいと思ったきっかけは。

寺地:文芸誌を買っていると、毎回賞の応募要項が載っているんですよね。お金の話になって申し訳ないんですけれど、賞金も書いてある。私はパートの時給が800円スタートだったんです。だんだん上がって1000円になったんですけれど、パートだから1日4時間しか働けなかったんです。130万円超えたら社会保険に入れなきゃいけないって雇い主の人が言うので制限していました。だからお金がなかったんですね。それで、賞金50万円とか100万円とか、大きい賞になると500万円とか、すごいなと思って。最初は、本当に最初だけなんですけれど、宝くじを買うようりもこれは確率が高いんじゃないかくらいに思ったんです。厚かましいんですけれど、その時は簡単に書けると思ったんですよ。

――それまで小説を書いたことはあったのですか。

寺地:どうだろう。ちゃんと書いたことはないと思います。それで、35歳の夏、お盆休みが終わったら書き始めようって思ったんです。自分のパソコンを持っていないので夫の持っている古いノートパソコンを借りるしかないんですけれど、お盆休みは夫がずっと家にいるので、書いたらばれるかなと思って(笑)。そんな「小説を書き始めます」と言う必要もないだろうと思い、お盆休みが終わったら夜にこっそり書き始めました。

――そんなすぐに書けるものですか。

寺地:クオリティは別として、一応最後まで書けました。空想が得意なので(笑)。よく「いきなり書き始めておしまいまで書ける人は少ない」みたいなことを言われますが、それがちょっと分からなかった。今でも分からないです。

――どの賞に応募するかはどう決めたのですか。太宰賞で続けて最終選考に残り、日本ラブストーリー&エンターテインメント大賞で最終に残り、そのあとでポプラ社小説新人賞で受賞されていますよね。賞のタイプが全然違う。

寺地:最初は、分かっていなかったので、確率が高そうだと思って地方の文学賞みたいなものに応募しようと思って探していたんですけれど、やっぱり賞金も低いんです。賞金が高いのはミステリの賞なんですが、それは無理だなと思いました。枚数も多かったし。
最初は100枚くらいのものを書いて、ろくに推敲もせずに何かに送ったんです。その後で太宰賞に応募しました。賞金が100万円もあっていいわと思って(笑)。小説を書き始めたのが8月でしたが、太宰賞の締切が12月だったのかな、直近に書いたものを送ったら最終に残ったから、これはやはり宝くじよりも確率が高いと思いましたね。で、落ちたので、甘くないってことをはじめて知りました。その時に編集者の方に「来年も頑張りましょう」と言われ、次の1年は太宰賞に出すものを頑張って書こうと思い、3作くらいしか書いていないんです。そのあとで宝島社の日本ラブストーリー&エンターテインメント大賞とポプラ社小説新人賞に応募したものを書いたんです。

([て]3-1)ビオレタ (ポプラ文庫)
『([て]3-1)ビオレタ (ポプラ文庫)』
寺地 はるな
ポプラ社
713円(税込)

――2014年に「ビオレタ」でポプラ社小説新人賞を受賞されるわけですが、ちなみに賞金がいくらだったんですか(笑)。

寺地:200万円です。高いんです(笑)。本当は駄目ですよね、賞金額で決めるなんて。

――「作家になりたい」というのとはまた違う動機で書き始めたともいえますが、デビューが決まったとなるとどういう感覚だったのでしょうね。

寺地:デビューしたとしても、「書いてください」と言われなかったら書けないんですよね。需要があるうちは続けられるんだろうと思ったんですが、もちろん一生安泰だとは思いませんでした。まあ、やれるうちはやったらいいし、依頼がなくなったら他の仕事をしようくらいに今も思っていますね。

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