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第7回:柴崎友香さん

ミニコミから古典まで宝の地図で駆けめぐる!
<プロフィール> 2000年「きょうのできごと」でデビュー(2003年 行定勲監督により映画化)。 2007年『その街の今は』(新潮文庫)で第57回芸術選奨文部科学大臣新人賞、第23回織田作之助賞大賞、2006年度咲くやこの花賞受賞。主な著作に『主題歌』(講談社)、『星のしるし』(文藝春秋)、『ドリーマーズ』(講談社)などがある。2010年9月に長編小説『寝ても覚めても』(河出書房新社)と初の本格エッセイ集『よそ見津々』(日本経済新聞社)発売。

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【1】『コンセプション』(天然文庫)

『コンセプション』

 特に岡田利規さんは小説もおもしろいし、同じ1973年生まれなので、常に気になる存在。新作公演『ホットペッパー、クーラー、そしてお別れの挨拶』を拝見した直後だったし、そのときに岡田さんとお話もできたので、シンプルな文庫サイズの『コンセプション』を手に取る。岡田さんと批評家やダンサーとの対話集。自分がどういうことをしようとしているか、演劇の内にも外にも向かってちゃんと説明しようとしている。自分も努力しないと、と思う。

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【2】『生活考察 創刊号 Vol.1』(辻本力編集・発行)

『生活考察 創刊号 Vol.1』

 『生活考察』創刊号。水戸芸術館にいた辻本力さん編集で、16人の作家や批評家たちが「生活」をテーマに書いている雑誌なのだが、約半数が面識のある人。知人の生活、これは気になります。もちろん未知の人の「生活」も。それにしても十六人のうち女性は小澤英実さん1人だけ。やたらと女性作家やギャル文化がもてはやされる昨今、この人選は興味深い。

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【3】『オーウェル評論集3』(平凡社ライブラリー)

『オーウェル評論集3』

 『オーウェル評論集』。『1984年』の著者ジョージ・オーウェルが書いたミラーやディケンズ、スウィフトなどの評論集。小説を書く人の小説の評論というのは特有のおもしろさを感じるし、ここからまた新たに読みたい本が見つかると確信する。

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【4】『Tree Line』(Steidl Publishing)

『Tree Line』

 洋書の写真集Robert Adams『Tree Line』。布張りのシンプルで美しい装丁に、モノクロの樹木と風景の写真。この数年、樹のことばかり考えているので、この写真集にはすぐに心を惹かれた。特別な巨木というわけではなく、アメリカの田舎らしい風景の中にある、勝手に伸びているような樹。だけどその場所のその瞬間にしかない佇まいと光の捉えかた、そしてそのこだわりぶりがよい。写真集で洋書はそれなりの値段がするので、いくら3万円で気が大きくなっているとはいえ、こういうのを次々買うとあっという間に予算オーバーしてしまう。しかし写真集でしかも洋書は一期一会。最近は全体的に日本への入荷も減っているようなので、「また今度」というわけにはいかない。買う。

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【5】『水木サンの迷言366日』(幻冬舎文庫)

『水木サンの迷言366日』

 水木しげる関連の本も何冊か教えてもらう。場所がやたらと具体的に書いてある妖怪ガイド本も気になったが、水木しげる著・大泉実成編『水木サンの迷言366日』。書名の通り、水木さんの名言が一日一言紹介されているのだが、松岡さん曰く「挿絵に使われている水木さんの絵の選び方が、ものすごく水木しげるを読み込んでる人じゃないとできない選び方なんです!」。確かに、どこから探してきたのかと思う絶妙なイラストの配置には深い愛を感じる。今日から1つずつ読みます。

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【6】『アラマタ美術誌』(新書館)

『アラマタ美術誌』

 芸術書コーナーで自分で探した1冊は、荒俣宏『アラマタ美術誌』。ミラーハウスの中に荒俣さんが頭を突っ込んだ表紙の写真のインパクトもすごいが、古今東西の「美」を論じた中身も期待に胸が膨らむ。

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【7】『時効捜査』(講談社)

『時効捜査』

 ここでメモしてきた本を検索。竹内明『時効捜査』。先日時効を迎えた警察庁長官狙撃事件の捜査の過程を追うノンフィクション。昨年、TBSのニュース番組で小林麻耶の横で難しい顔をしていたのが竹内さん。たまたま著者のインタビューを読んで、気になった1冊。「どこで誰が間違えたんだ!」と帯にある通り、証拠も多い重大事件がなぜ解決しなかったかを丹念に追う。人の記憶のあやふやさや、真実への辿り着けなさ、一人一人は必死にやっているのに組織全体としては間違った方向へ行ってしまうことなど、事件捜査に限らず、人間の謎として気になる。

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【8】『精神の哲学・肉体の哲学』(講談社)

『精神の哲学・肉体の哲学』

 木田元・計見一雄『精神の哲学・肉体の哲学』も、精神科医の計見さんのインタビューのべらんめえな口調と内容の的確さから読みたくなった。同じく精神科医・中井久夫の随筆がとても好きなのだが、「トラウマ」や「心の闇」といった浅い言葉だけで人間をラベル付けするのとはまったく違い、実際に患者に寄り添ってきた医師の言葉には、人がいかに複雑な仕組みの中でバランスを保って生きているか、感心させられる。「反哲学」を掲げる哲学者と「肉体」を重視する精神科医の対談、健康的な思考が体験できそうな気がする。

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【9】『地球遺産 最後の巨樹』(講談社)

『地球遺産 最後の巨樹

 吉田繁『地球遺産 最後の巨樹』は今日どうしてもほしかった一冊。樹になんでそんなに大騒ぎしてるの? と、お思いの方も、この写真集を開いて世界一太い樹、高い樹、長生きの樹4700歳!)などの威容を一目見れば、樹に対するイメージが衝撃的に更新されるはず。

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【10】『LB 中洲通信 2010年2月号』(リンドバーグ)

『LB 中洲通信 2010年2月号』

 「宝の地図」に示されたミニコミコーナーに行くと、充実ぶりに釘付けになってしまった。『LB 中洲通信』。福岡で長らく続いてきた中洲のママ・藤堂和子さんが編集人を務めるミニコミ誌。この号が最後なのだそうだ。それにしても最終号の表紙がなぜ「手嶋龍一」!? しかも七三分け&黒タートルに黒スーツ。渋すぎます。

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【11】『TOLTA 4』(TOLTA)

『TOLTA 4』

『TOLTA  4』。現代詩をテーマにしたミニコミで4号目の特集は「14歳のための現代詩」。段ボールの表紙や蛇腹に折り畳まれた年表、黄色と緑色の鮮やかなゴムベルトと、手作りならではの装幀と手探り感が相まって、所有欲をそそる。

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【12】『歩きながら考える step4』(レーエ)

『歩きながら考える step4』

 『歩きながら考える』。こちらも4号目だそう。とにかく表紙が素敵。小振りな外見なのに、バリー・ユアグローや今日マチ子などこっそり豪華な内容。こういうの見てると、自分も作りたくなる。

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【13】『建築と日常 vol.1』(長島明夫編集・発行)

『建築と日常 vol.1』

 『建築と日常 vol.1』1だけど2号目。特集は「物語の建築」ということで、建築家と小説家の対談など、建築と個人とをつなぐ試みになっている。背表紙に印刷製本費を公表して広告を募集しているのも興味深い。めくっていたらわたしの小説『その街の今は』の広告が! 街の建造物と人間の時間をテーマにした小説なので、こんなところでつながっていてうれしい。

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【14】『酒とつまみ 第12号』(酒とつまみ社)

『酒とつまみ 第12号』

 『酒とつまみ』。「タモリ倶楽部」のお酒関係の特集に出てくる雑誌や!巻頭特集はいきなり「激痛エピソード」。筋金入りの酒豪の皆さんの「激痛」。内容を読む前にすでに顔が半笑いに。

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【15】『男子にオススメの少女マンガ大百科』(スモール出版)

『男子にオススメの少女マンガ大百科』

 『男子にオススメの少女マンガ大百科』スモール出版。薄い中に少女漫画がぎっしり260作。ほかにも『音頭大百科』『ラップ歌謡大百科』など気になりすぎる「大百科」シリーズ、うーん、自由だなあ。

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【16】『火山の下』(白水社)

『火山の下』

 ということで、ようやく「文学」のエリアへ。締めはもちろんここです。小説がみっしり詰まった棚に囲まれてるだけで、心が落ち着く。なにはともあれ、マルカム・ラウリー『火山の下』。ガルシア=マルケスや大江健三郎も愛読してきた名著の待望の新訳、メキシコの「死者の日」の一日を描いた物語。読むしかないと思っていた。

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【17】『南回帰線』(講談社文芸文庫)

『南回帰線』

 ヘンリー・ミラー『南回帰線』は、定番の『北回帰線』より好きという人が多いので。

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【18】『エドワード・オールビー1 動物園物語、ヴァージニア・ウルフなんかこわくない』(ハヤカワ演劇文庫)

『エドワード・オールビー1 動物園物語、ヴァージニア・ウルフなんかこわくない』

 エドワード・オールビーの戯曲集『動物園物語 ほか』。「中野成樹+フランケンズ」の中野さんは「誤意訳」という手法で古典戯曲を解釈して上演しているのだが、この『動物園物語』を横浜の野毛山動物園で動物の鳴き声が聞こえる中で上演したのはものすごくおもしろかった。その「誤意訳」というのがどのくらい「誤」や「意」なのか確かめたい。

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【19】『トリストラム・シャンディ』(岩波文庫)

『トリストラム・シャンディ』

 ローレンス・スターン『トリストラム・シャンディ』は、読んだ本の中に登場することが続いて気になっていた。

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