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第45回:遠田潤子さん

慣れないお店をうろうろ
<プロフィール> 遠田潤子(とおだ じゅんこ)
1966年生まれ。関西大学卒業。2009年『月桃夜』で第21回日本ファンタジーノベル大賞を受賞してデビュー。2012年『アンチェルの蝶』で大藪春彦賞候補となる。『雪の鉄樹』が「おすすめ文庫王国2017」第1位に、『オブリヴィオン』が「本の雑誌社が選ぶ2017ベストテン」第1位に選ばれた。他の著作に『鳴いて血を吐く』『あの日のあなた』『蓮の数式』『冬雷』など。

購入書籍No.   12345678910111213

【1】『チョークアート』(枻出版社)
【2】『手描きチョークアートのアイデア&テクニック』(日東書院本社)

『チョークアート』『手描きチョークアートのアイデア&テクニック』

 まずは美術書の棚でチョークアートに関する本を探します。渡邉さんと山川さんに手伝っていただきました。新作の資料にする予定ですが、なかなかこれという本がない。迷ったすえ、2冊カゴに入れました。

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【3】『もっと知りたい速水御舟 生涯と作品』(東京美術)

『もっと知りたい速水御舟 生涯と作品』

 ついでに、仕事関係なしに大好きな速水御舟の画集を探します。名前がかっこいい画家ランキングでは絶対上位に入るでしょう。子供の頃に見た「名樹散椿」が、非常に印象的でした。以来、椿になんとなく執着があります。大判の画集を買うと予算が吹っ飛ぶので、コンパクトなものを選びました。パラパラめくってため息。この方の描く花の絵、本当に惚れ惚れします。

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【4】『手まり 幾何学模様と手わざ』(リーブル出版)

『手まり 幾何学模様と手わざ』

 美術棚をうろうろしていると、手鞠の本が目に付きました。幾何学模様が綺麗だな、と以前から気になっていたんです。「宇宙を思わせますね」と渡邉さん。私はイスラム寺院のドーム天井を連想します。手鞠は完全に和風小物なのに不思議です。迷わずカゴに入れました。

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 文章で書けばサクサク買っているようですが、実際は相当うろうろ、もたもたしています。見れば、田中さんと渡邉さんがロック? ギター? 音楽関係の本を見て、なにやらあれこれ。退屈されているのか。そりゃそうだ。本選びに時間が掛かってすみません。早く選ばなければ、と焦ります。

 次に、畳に関する本を探しました。歴史、民俗、文化などいろいろ棚を探しますが、適当なものが見つかりません。検索も掛けました。もしかしたら、建築関係か、と5階の理工書のフロアに移動。ですが、やはりありません。結局、畳の本は望むものが見つかりませんでした。難しいですね。

【5】『燈用植物』(法政大学出版局)

『燈用植物』

 さらに、人文関係のフロアをうろうろ。法政大学出版局の「ものと人間の文化史」を探します。このシリーズ、非常に面白いんです。ある一つの「もの」と人間の関わりをわかりやすく解説してくれる入門書です。本屋に行ったときには、必ずチェックします。『石垣』『釣針』『温室』などなど、思いも寄らないテーマで一冊の本になっているので、背表紙を見ているだけでワクワクするんです。今回、『燈用植物』というのが面白そうなのでカゴへ入れました。燈油、燈心、蝋燭などについて書かれています。ああ、なんかテンションが上がりました。読むのが楽しみです。

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【6】『つばき油の文化史 暮らしに溶け込む椿の姿』(雄山閣)

『つばき油の文化史 暮らしに溶け込む椿の姿』

 さらにここで、『つばき油の文化史』を発見。前から気になっていた本ですが、実際に手に取って見るのは初めてです。中を見たら、すごくいい感じ。ここで買わなければ絶対後悔する。カゴに入れました。

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【7】『戦国河内キリシタンの世界』(批評社)
【8】『バテレンの世紀』(新潮社)
【9】『大阪古地図むかし案内 読み解き大坂大絵図』(創元社)

『戦国河内キリシタンの世界』『バテレンの世紀』『大阪古地図むかし案内 読み解き大坂大絵図』

 杉江さんにカゴの中を計算して貰います。まだまだ余裕があることがわかって俄然強気に。今度は、歴史関係の棚へ移動します。難しい資料は読めないので、できるだけわかりやすく書かれたものがいいな、と思います。
 ここではあまり迷わず、目に付いた『戦国河内キリシタンの世界』『バテレンの世紀』の2冊をカゴに入れました。いずれ戦国ものを書くという野望があるので。ついでに、『大阪古地図むかし案内』も。他にもいろいろ欲しい本がありましたが、結構なお値段なので今は断念。

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【10】『宮廷画家ルドゥーテとバラの物語』(青幻舎)

『宮廷画家ルドゥーテとバラの物語』

 文芸フロアに移動する前に、もう一度人文フロアを確認。そうそう、バラの資料も必要だった、と思い出し『宮廷画家ルドゥーテとバラの物語』をカゴに入れました。

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 杉江さんに金額を確認してもらいます。この段階で25,000円ほど。残りはあと5,000円しかありません。ですが、30,000円をオーバーしても自腹ならOKとのこと。よし、すこしくらいなら出しましょう。また気が大きくなって、2階の文芸書のフロアに降りました。

【11】『塔の中の部屋』(アトリエサード)

『塔の中の部屋』

 正直、ここは落ち着きません。「何十万部突破」や「何々賞受賞」や「映画化決定」など、売れない作家の精神を削る言葉がいたるところにあるからです。落ち込まないでおこうと思うと、顔が能面になるような気がします。
 国内ミステリをパスして、そそくさと海外文学の棚に向かいます。すると、いいのがありました。ナイトランド叢書。幻想怪奇文学のシリーズのようです。見つけたのが、『塔の中の部屋』E・F・ベンスン。本邦初訳とあります。おお、この言葉に弱いんです。
 ホラーアンソロジーを集めていくと問題が起きます。有名作品はあちこちのアンソロジーに収録されるため、ダブりが出るのです。「このアンソロジーの収録作品はほとんど読んだことがあるが、一編だけ未読だ」なんてときには、財布を見て悩みます。諦めることもあります。でも、今日は強気です。迷わずカゴに入れました。

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【12】『ジョージおじさん─十七人の奇怪な人々─』(アトリエサード) 【13】『鳥の巣』(国書刊行会)

『ジョージおじさん─十七人の奇怪な人々─』『鳥の巣』

 同じシリーズで『ジョージおじさん─十七人の奇怪な人々─』オーガスト・ダーレス。カゴに入れました。嬉しいです。他にはブラックウッド、ホジスンもあります。ここにも本邦初訳の文字が。欲しい。でも、そろそろ予算が心配です。他の棚も見なければ、と眼を移すと、『鳥の巣』シャーリイ・ジャクスン。すごく綺麗なカバーです。うわ、これは買わねば。この作者の『丘の屋敷』(邦題はいろいろあります)や『ずっとお城で暮らしてる』など、館ものとしては『ねじの回転』に並ぶ傑作だと思ってます。カゴに入れました。

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 ここで、もう一度杉江さんに計算してもらいました。合計、32,400円。オーバーしたぶんは自腹です。これ以上は無理。会計を済ませて、配送依頼をしました。ああ、もっと買いたかった。
 つらつらと偉そうに書いてきましたが、田舎者の私には夢のような経験でした。当日お世話になった三省堂書店神保町本店様、本の雑誌社の皆様、光文社の皆様、本当にありがとうございました。
 ちなみにお伺いした日はバレンタイン。チョコの一つも用意せず、気が利かなくて申し訳ないです。

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