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第26回:伊東潤さん

思い出の書店で
<プロフィール> 伊東潤(いとう・じゅん)
1960年、神奈川県横浜市生まれ。早稲田大学卒業。『国を蹴った男』(講談社)で第34回吉川英治文学新人賞、『黒南風の海――加藤清正 「文禄・慶弔の役」異聞』(PHP研究所)で第1回本屋が選ぶ時代小説大賞、『義烈千秋 天狗党西へ』(新潮社)で第2回歴史時代作家クラブ 賞(作品賞)、『巨鯨の海』(光文社)で第4回山田風太郎賞と第一回高校生直木賞を受賞。最新刊に『天地雷動』(KADOKAWA)

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【1】『笑う警官』(角川文庫)

『笑う警官』

 若い頃に読みまくったミステリーの中でも、刑事マルティン・ベック・シリーズはお気に入りの一つである。今でも心の中では、ストックホルムの湿った空気とベックたちの足音が響いている。その名作の新訳が出たというのだ。読まないわけにはいかない。「俺が読まずに誰が読む」といった気概で、最初に手に取った一冊。

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【2】『皆殺し映画通信』(カンゼン)

『皆殺し映画通信』

 町山智浩氏や江戸木純氏との共著も含め、柳下氏の著作はほとんど読んでいる。これまで彼らの注釈によって、様々な日本映画の駄目な点を学び、自分の創作に役立てることができた。小説のレクチャー本よりも、こうした反面教師本の方が、よほど役に立つ。

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【3】『レンズが撮らえた幕末日本の城』(山川出版社)

『レンズが撮らえた幕末日本の城』

 前から買おうと思っていた一冊。城数奇としては、鉄筋コンクリートの再建天守よりも、徳川三百年を生き抜き、尾羽打ち枯らしたような幕末期の城に哀愁を感じる。皆さん、お疲れ様でした。

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【4】『横浜ノスタルジア 昭和30年頃の街角』(河出書房新社)
【5】『カメラが撮らえた神奈川県の昭和』(新人物往来社)

『横浜ノスタルジア 昭和30年頃の街角』『カメラが撮らえた神奈川県の昭和』

 昭和35年生まれの私としては、まさに生まれ育った地の原風景がここにある!「そうそう、あそこの角を曲がると─」などと、写真に写っていない部分も、失われていた記憶を喚起してくれるのがうれしい。この風景の中で生きてきたと思うと、感慨もひとしおである。

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【6】『フェルメールへの招待』(朝日新聞出版)

『フェルメールへの招待』

 「今更かよ」とは思うなかれ。私はフェルメールとオランダ絵画については草分けファンで、日本に紹介され始めた80年代末頃からイチオシの画家だった。実は、来日したフェルメール作品は、すべて見ている。初恋の人が『真珠の耳飾りの少女』にそっくりだったということもある(赤面)。

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【7】『マカロニ・ウェスタンBEST SELECTION 50』(近代映画社)

『マカロニ・ウェスタンBEST SELECTION 50』

 今回の企画で、まず買おうと思ったのがこの本。少年の頃、いかなるホラー映画よりも、この欲と裏切りの渦巻く地獄のような世界が怖かった。でも今なら行ってみたい(笑)。

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【8】『図説満鉄「満洲」の巨人』(河出書房新社)
【9】『図説写真で見る満州全史』(河出書房新社)

『図説満鉄「満洲」の巨人』『図説写真で見る満州全史』

 日本統治下の満州にはロマンを感じる。誰にとっても夢と挫折はある。あの時代、国民全員の壮大な夢こそ満州帝国だった。日本人というのは実に偉大である。

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【10】『カメラが撮らえた勤王派と佐幕派幕末の志士』(ビジュアル選書)

『カメラが撮らえた勤王派と佐幕派幕末の志士』

 ここ最近、幕末の志士たちの見慣れない写真が発掘され始めた。幕末維新を舞台とした小説を書く上で、必要なツールなので即、購入。でも、写真が残っている時代の小説を書くのは、何かと大変である。

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【11】『ドキュメント太平洋戦争全史  上・下』(講談社文庫)

『ドキュメント太平洋戦争全史  上・下』

 日本人にとって大東亜戦争とは何だったのか。そろそろ経験者のほとんどがお亡くなりになり、地続きではなくなりつつある昭和史を体系立って学ぶ必要があると思った。しかもこの本は、私見を交えない客観的な戦史だという。こうした資料本が文庫サイズで手に入るのは、実にありがたい。

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【12】『冷血』(新潮文庫)

『冷血』

 学生時代に図書館で借りて読み、アメリカの素顔を知った気がした覚えがある。早速、少し読んでみたが、描写は緻密で、作家の視点はクールに尽きる。「昔は、こういった外文が多かったよな」と、一人感慨にふけってしまった。

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【13】『牢人たちの戦国時代』(平凡社新書)

『牢人たちの戦国時代』

 仕事で使えそうな本もゲットした。かつて私は『牢人大将』という短編を書いたことがあり、題材にも興味があるが、渡邊大門氏の著作に外れはないので、すべて読むことにしている。

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【14】『呆韓論』(産経セレクト)

『呆韓論』

 あいかわらず反日の旗を掲げ続ける韓国だが、米国に慰安婦像まで建てるところまで行ってしまうと冗談にならない。日韓友好を願い、かつて『黒南風の海』という作品を書いた私としては猛省している。

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【15】『鯨人』(集英社新書ノンフィクション)

『鯨人』

 調査捕鯨に関する日本と西洋諸国の感覚は、大きく隔たっている。それがオランダ・ハーグの国際法廷の判決に如実に表れていた。捕鯨とは何かを考える上で、その原点に立ち返るべく、本書を読もうと思った。

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【16】『東郷平八郎 読みなおす日本史』(吉川弘文館)

『東郷平八郎 読みなおす日本史』

 日露戦争でバルチック艦隊を破った東郷については、NHKドラマ『坂の上の雲』の影響もあり、このところ注目が集まっている。やはり勝ち戦は気分がいい。

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【17】『消えた横浜娼婦たち 港のマリーの時代を巡って』(データハウス)

『消えた横浜娼婦たち 港のマリーの時代を巡って』

 まさか港のマリーが、こうした本になるとは思ってもいなかった。横浜生まれの私は、子供の頃、何度も彼女を見かけた。見目も鮮やかな真紅のドレスをまとった彼女は、少年の目には、とても気高く美しかった。

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【18】『アグルーカの行方』(集英社)

『アグルーカの行方』

 生まれ変わることができたら探検家になりたいと思うのは、男子に共通した夢である。それを軽々と実現してしまった男こそ、角幡君である。もう一度、早稲田大学の一年に戻れたら、迷わず探検部に入る。

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【19】『幕末維新と佐賀藩 日本西洋化の原点』(中公新書)

『幕末維新と佐賀藩 日本西洋化の原点』

 幕末を迎え、佐賀藩は薩長土肥以上に進んだ洋式部隊を持っていた。しかも反射炉まで自前で作り、試行錯誤しつつ大砲の鋳造まで行っていた。藩主の鍋島直正に先見の明があったのはもちろんだが、佐賀藩だけがどうして突出し得たのか、興味は尽きない。

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