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図書カード使い放題?!

もし手元に自由に使える3万円の図書カードNEXTがあったら、あなたならどんな本を買いますか?
このコーナーでは、そんな夢のような話を作家さんに体験していただき、どんな本を選んだかを大公開!
図書カードNEXTで本を選ぶ楽しみをあなたも疑似体験してください。

第74回:高瀬隼子さん

下見をしました
<プロフィール> 高瀬隼子(たかせ・じゅんこ)
1988年愛媛県生まれ。東京都在住。立命館大学部文学部卒業。2019年「犬のかたちをしているもの」で第43回すばる文学賞を受賞。2020年に同作でデビュー。2022年『おいしいごはんが食べられますように』で第167回芥川賞、2024年『いい子のあくび』で第74回芸術選奨新人賞を受賞。

今月の図書カード3万円お買い物は高瀬隼子氏が登場!取材5日前にばっちり下見をし、歴史の資料集に犬の四字熟語辞典等々、狙っていた本から予想外の本までうきうき買った13冊はこれだ!
(2024年3月19日 於ジュンク堂書店池袋本店)

 依頼のメールを受け取ったとき、パソコンの前で座ったまま両手を上げて、左右にフリフリ振ってしまった。唐突な幸福の前で、人は本当に小躍りするものなのだ。働き始めて最初のボーナスをもらったときや誕生日に、自分へのご褒美として「1万円分本を買う」というのをやったことがあるが、今回は3万円だ。しかも自分の金ではない。最高である。
 一気に3万円分も本を買ったことはない。依頼いただいたそのときはテンションが上がりすぎて、文芸書の新刊が平台に並ぶコーナーで、憧れの「こちらの台の、端から端まで全て1冊ずつくださいな」をやってみようかとも思ったが、さすがにかっこよすぎるので止めておくことにした。となると3万円分、じっくり選んで買わねばなるまい......と考えて急に不安になった。編集者の方たちと一緒に本屋さんに行って、見守られながら本を選ぶのか。想像すると緊張する。できるかな。お腹が痛くなってきた。さっきまで小躍りしていたくせに。
 これは本好きの方みんなに共感してもらえると思うのだけれど、本屋さんに入ったら一時間で済むはずがない。特に小説のコーナーは、棚の端から端までじっとり眺めねば気持ちが落ち着かない。普段、1,2冊を選ぶのにもそんなふうなのに、3万円分も本を選ぶなんて何時間かかるんだろう。その間編集者の方をお待たせするわけだ。買い物をするジュンク堂書店池袋本店さんは、地下1階から9階まで10フロアもある。日程調整をする際、「では13時開始で、15時頃までですかねえ」と言われて目を剥いた。たった2時間で全フロアを周り、本を選べる自信がない。皆無だ。というより無理だ。
 不可能を確信したわたしは、下見することにした。取材日の5日前に1人でジュンク堂書店池袋本店を訪れ、1フロアずつなめまわすようにして全部の棚をめぐった。これは欲しい、あれも買おう、と目星をつけながら進み、「でも今日は下見だから買っちゃだめなんだよな。うん、来週買うからな。だめだな」と自分に言い聞かせていたが、こらえ切れず何冊か購入してしまった。してしまった、などと後悔したふうに書いてみたが楽しかった。本は読むのも楽しいし、選ぶのも買うのも楽しい。すごい。

高瀬隼子さんが図書カードNEXTで購入した本

著書 著者/出版社 価格(税込)
『山川 詳説日本史図録』 詳説日本史図録編集委員会/山川出版社 ¥990
『ニューステージ世界史詳覧』 浜島書店 ¥990
『わんこ四字熟語辞典』 西川清史/飛鳥新社 ¥1,540
『世界の飼い犬と野生犬』 トム・ジャクソン、倉橋俊介訳、菊水健史監修/エクスナレッジ ¥3,080
『言語学バーリ・トゥード Round1 AIは「絶対に押すなよ」を理解できるか』 川添愛/東京大学出版会 ¥1,870
『東京の生活史』 岸政彦編/筑摩書房 ¥4,620
『レーエンデ国物語』 多崎礼/講談社 ¥2,145
『ここはすべての夜明けまえ』 間宮改衣/早川書房 ¥1,430
『敬愛の心』 キム・グミ、すんみ訳/晶文社 ¥2,640
『マーリ・アルメイダの七つの月』〈上下〉 シェハン・カルナティラカ、山北めぐみ訳/河出書房新社 ¥6,050
『コレラの時代の愛』 ガブリエル・ガルシア=マルケス、木村榮一訳/新潮社 ¥3,850
『「くぐり抜け」の哲学』 稲垣諭/講談社 ¥2,200
合計 13冊 ¥31,405

それでは各書籍について、購入の背景をじっくりと伺いましょう。

購入の背景について

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