図書カードNEXT トップ > 図書カード使い放題?! > 60周年記念企画:石田衣良さん

60周年にちなんで、今年還暦を迎えた石田衣良さんが6万円の図書カード使い放題に挑戦!「本の雑誌」との共同企画です。

石田衣良さん

6万円のブックハンティング大冒険
<プロフィール> 石田衣良(いしだ・いら)
1960年、東京生まれ。84年に成蹊大学を卒業後、広告制作会社勤務を経て、フリーのコピーライターとして活躍。97年「池袋ウエストゲートパーク」でオール読物推理小説新人賞を受賞し作家デビュー。2003年「4TEEN フォーティーン」で直木賞を受賞。06年「眠れぬ真珠」で島清恋愛文学賞、13年「北斗、ある殺人者の回心」で中央公論文芸賞を受賞。『アキハバラ@DEEP』『美丘』など著書多数。

購入書籍No.   1 |2 |3 | 4 |5 |6 |7 |8 |9 | 10 |11 |12 | 13 |14 |15 |16 |17 |18 | 19 |20 | 21 |22 | 31 |32 | 23 |24-30 | 33 |34 | 35 |36 |37 | 38 |39

【1】『海神の島』(中央公論新社)
【2】『我々は、みな孤独である』(角川春樹事務所)
【3】『真夜中のたずねびと』(新潮社)

『海神の島』『我々は、みな孤独である』『真夜中のたずねびと』

 まず最初に日本の文芸から。ぼくはパターンにはまった捕物帳、サラリーマン侍もの、殺人ミステリー、警察小説が苦手(みんな、そんなに沢山書かなくてもいいんじゃない?)。ワン&オンリーの世界を拓く、ひと癖ある大人の作家が好みだ。新刊の棚に池上永一、貴志祐介、恒川光太郎、かねてより愛読する3氏の単行本があったので、早速ゲットした。リアリズムからの外れ方が、みなちょうどいい塩梅です。さっさとこの3人に直木賞あげちゃえばいいのに。

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【4】『動画でわかるカット割りの教科書 人物の行動を映像化するための撮影&編集術』(玄光社)
【5】『アジア映画の森 新世紀の映画地図』(作品社)
【6】『風に吹かれて』(中央公論新社)
【7】『伊丹十三の映画』(新潮社)
【8】『きょうも映画作りはつづく』(KADOKAWA)
【9】『三船敏郎の映画史』(アルファベータブックス)

『動画でわかるカット割りの教科書 人物の行動を映像化するための撮影&編集術』『アジア映画の森 新世紀の映画地図』『風に吹かれて』『伊丹十三の映画』『きょうも映画作りはつづく』『三船敏郎の映画史』

 つぎは最近、映像系の企画をしている関係で、映画の本をどっさり。最近も黒澤明の『生きる』を観て、感心したばかりである。三船敏郎と伊丹十三のフィルモグラフィをもう一周、紙の上で巡るのは楽しみだなあ。アジア映画も韓国だけでなく、台湾・中国・タイ・ベトナムと充実している。経済成長と映画制作のピークというのは世界中でシンクロするので、アジアの作品はこの先も期待できるのだ。

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【10】『改訂大阪大空襲 大阪が壊滅した日』(東方出版)
【11・12】『黒い雨に撃たれて 二つの祖国を生きた日系人家族の物語』上下(慶応義塾大学出版会)

『改訂大阪大空襲 大阪が壊滅した日』『黒い雨に撃たれて 二つの祖国を生きた日系人家族の物語』上下

 続いて、第二次世界大戦の資料も個人的な蒐集の対象だ。『不死鳥少年』で東京大空襲をとりあげたけれど、まだ書きたいことがある。大阪大空襲やヒロシマの本はもっともっと欲しい。自衛隊を軍に格上げして、強面でいけば外国に舐められずに済む。その手のバトル漫画的ファンタジーがネットには溢れているけれど、国民国家総動員をかける現代総力戦の底なしの悲惨に、もうすこし目を開くべきでは。

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【13】『翡翠城市』(新☆ハヤカワ・SF・シリーズ)
【14・15】『宇宙へ』上下(ハヤカワ文庫SF)
【16】『月は無慈悲な夜の女王』(ハヤカワ文庫SF)
【17】『伝道の書に捧げる薔薇』(ハヤカワ文庫SF)
【18】『あまたの星、宝冠のごとく』(ハヤカワ文庫SF)

『翡翠城市』『宇宙へ』上下『月は無慈悲な夜の女王』『伝道の書に捧げる薔薇』『あまたの星、宝冠のごとく』

 SFは小中学生だったぼくの主戦場だった。しばらくこのジャンルから離れていたが、最近またカムバックしたところ。『翡翠城市』は世界幻想文学大賞受賞作ということでピック。『オブザーバーの鏡』は最高におもしろかったなあ。『宇宙へ』はコンピュータのない時代に隕石が地球に衝突することが判明。計算尺で造ったロケットで地球脱出を図るという歴史改変SF。上下巻なので迷っていたら、カメラマンに強力に勧められたので買いました。『月は無慈悲な~』と『伝道の書~』は引っ越しで手元から紛失したので再購入。好きだったロジャー・ゼラズニイが、これ1冊しか残っていないなんて残念。ハーラン・エリスンとS・R・ディレーニはずいぶん書棚にあるのに不思議だ。

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【19】『真・チャート分析大全 小次郎講師流テクニカル指標を計算式から学び、その本質に迫る』(パンローリング)
【20】『新マーケットの魔術師 米トップトレーダーたちが語る成功の秘密』(パンローリング)

『真・チャート分析大全 小次郎講師流テクニカル指標を計算式から学び、その本質に迫る』『新マーケットの魔術師 米トップトレーダーたちが語る成功の秘密』

 ぼくの趣味のひとつに日経平均先物のトレーディングがある。MACD、ストキャスティクス、RSIといったチャート分析の技法とウォール街の名トレーダーたちのインタビュー集は、下見にいったときにチェックしていた本。シカゴのトレーダーはいう。「数千ドルを数10万ドルにするのが楽しい」。少額の自己資金を元手にこつこつと積みあげる王道の取引のおもしろさ。トレーダーはみな個性的で、マーク・トウェインの小説の登場人物みたいに、ひと癖ふた癖もある連中ばかり。まあ、頭のいい変態揃いですね。

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【21】『岡井隆歌集』(思潮社現代詩文庫)
【22】『家づくりの教科書 理想の住空間のベストサンプル』(マガジンハウス)

『岡井隆歌集』『家づくりの教科書 理想の住空間のベストサンプル』

 詩歌は大人の教養には欠かせないもの。俳句か現代詩の個人全集を探したけれど、いいのが見当たらず、亡くなった『岡井隆歌集』を選んだ。
 東京に泊るものうさひしひしと敵地と思ひてありし歳月
 ここに実は1冊で15,000円くらいの予算をドンと割いていたのだけれど。好きな俳人や詩人の箱入りの全句集とか全詩集は、何冊か手元に置いておきたいもの。全生涯の作品が1冊でコレクションできるのだ。すごいと思いませんか。小説家の全集はとかく長過ぎる。リビングルームのテーブルサイドに、ガーデニングや建築の大判写真集だけでなく、この手のレンガみたいな1冊を添えておきましょう。段違いでインテリに見えるよ。


 ふう、ここまでで約半分の19点を駆け足で紹介した。6万円分というのはけっこうな量の本が買えるなあ。ちなみに個人的なジュンク堂渋谷店の最高購入額は、次男の誕生日プレゼントに図鑑や小説をカート一杯に買いこんだ5万円弱。今回がぼくの新記録でした。

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【23】『ねこねこ日本史 9』(実業之日本社)
【24-30】『双亡亭壊すべし』11、12、14-18巻(小学館)

『ねこねこ日本史 9』『双亡亭壊すべし』11、12、14-18巻

 さて、つぎは大好きなマンガから。次男のリクエストで『ねこねこ日本史』第9巻。このマンガ家がもしかすると、労働時間当たり単価が日本で一番高い描き手ではないだろうか。毎回主人公は猫だし、簡潔の極みの絵柄だから。買い忘れていた『双亡亭壊すべし』は『うしおととら』『からくりサーカス』の大家の最新ホラー長篇。おもしろいよ。時間がなかったので一本に絞ったけれど、マンガのお勧めはいろいろとあります。『呪術廻戦』『地獄楽』『バードメン』『ヴィンランド・サガ』。キメツもいいけど、ほかの少年マンガもね。ちなみに呪術は今年の秋アニメで、ぼくの『池袋ウエストゲートパーク』と並ぶ注目作! そうそうアニメで大麻依存とかブラック企業とかヘイトスピーチを平然ととりあげるなんて、IWGP以外誰もやらないので、ぜひ大人のあなたも観てみてください。現在あちこちのテレビ局とアマゾン・プライムビデオでオンエア中です。


 ここで残りがわずかになってきた。図書カードが3万円以上あったときには、ぽんぽんと単行本をカゴに放りこんでいたけれど、1万円を切るとそうはいかない。電卓で残りを計算しながら、文庫を1冊ずつ見分していく。

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【31】『ウイルス・ハンター アメリカCDCの挑戦と死闘』(ハヤカワ文庫NF)
【32】『不連続殺人事件』(新潮文庫)

『ウイルス・ハンター アメリカCDCの挑戦と死闘』『不連続殺人事件』

『ウイルス・ハンター』は日本でも創設が噂されるアメリカ疾病予防管理センター(CDC)が舞台のノンフィクション。時節柄この手は欲しいなあ。『不連続殺人事件』はいつかぼくが本格推理ものを書くとしたら、参考にしようと考えている一冊。安吾のミステリーは予想外におもしろい。

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【33】『脂肪の塊・テリエ館』(新潮文庫)
【34】『強力伝・孤島』(新潮文庫)

『脂肪の塊・テリエ館』『強力伝・孤島』

 ぼくは今、月に一回読書会を開いていて、毎月傑作短篇がひとつ必要になっている。そこで『脂肪の塊・テリエ館』『強力伝・孤島』を選んでみた。脂肪はすぐにつかえるなあ。

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【35】『日本大空襲 本土制空基地隊員の日記』(ちくま学芸文庫)
【36】『米陸軍日本語学校』(ちくま学芸文庫)
【37】『史上最強の哲学入門 東洋の哲人たち』(河出文庫)

『日本大空襲 本土制空基地隊員の日記』『米陸軍日本語学校』『史上最強の哲学入門 東洋の哲人たち』

 すこしお高いちくま学芸文庫は、今回の企画にぴったり。普段は文庫で1,500円は迷うものね。『日本大空襲』は飛行隊整備兵の詳細な日記、『米陸軍日本語学校』は戦時中にアメリカに造られた敵性語学校の記録です。誰も知らない太平洋戦争の貴重な一面を描いた資料として。『史上最強の哲学入門 東洋の哲人たち』は前作の西洋篇がおもしろかったので。格闘家のように哲学者を熱く描いて、出色の哲学史入門書になっている。

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【38・39】『夢裡庵先生捕物帳』上下(徳間文庫)

『夢裡庵先生捕物帳』上下

 最後に購入を決めたのは、『夢裡庵先生捕物帳』上下。先ほど捕物帳はもう十分といったけれど、腕のいい作家ならもちろん大歓迎。池波正太郎、藤沢周平、山田風太郎とうちにもどっさりとある。そこで泡坂妻夫を最後にカートに入れて、6万円のブックハンティング大冒険は無事おしまい。
 いやあ、買い物ってほんとに楽しいですね。それが好きな本だといっそう盛りあがるもの。本でいっぱいの重い紙袋四つをもち帰り、リビングの床一面に広げたときの愉快さ、豪勢さといったらありませんでした。本の装丁って見てるだけで楽しいよね。その日は暗くなるまで、ソファでごろごろしながら、買ったばかりの本を手にとって確かめ、流し読みして過ごしたのだ。充実した一日だったなあ。みなさんもたまには奮発して、街の書店で大人買いしてみませんか。旅行や新しいジャケットなんかにつかうより、ずっと身に着く大満足の散財だと思うんだけど。

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購入の背景について
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