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図書カード使い放題?!

もし手元に自由に使える3万円の図書カードNEXTがあったら、あなたならどんな本を買いますか?
このコーナーでは、そんな夢のような話を作家さんに体験していただき、どんな本を選んだかを大公開!
図書カードNEXTで本を選ぶ楽しみをあなたも疑似体験してください。

第36回:米澤穂信さん

鷹と犬
<プロフィール> 米澤穂信(ヨネザワ・ホノブ) 1978年、岐阜県生れ。2001年、『氷菓』で角川学園小説大賞奨励賞(ヤングミステリー&ホラー部門)を受賞しデビュー。2011年、『折れた竜骨』で日本推理作家協会賞を受賞。2014年『満願』で山本周五郎賞を受賞。同作と、2015年『王とサーカス』は「このミステリーがすごい!」「ミステリが読みたい!」「週刊文春ミステリーベスト10」の国内部門ランキングにて1位を獲得し、二年連続の三冠を達成する。他著に『インシテミル』『追想五断章』『真実の10メートル手前』などがある。

今月の図書カード3万円使い放題コーナーは、米澤穂信氏が登場!紀伊國屋書店新宿本店全フロア踏破の野望を胸に、じっくり5時間半かけて選び抜いた13冊はこれだ!
(平成28年6月7日 於紀伊國屋書店新宿本店)

 欲しい本は通信販売で自宅に届けてもらえるいま、本屋に行く意味は欲しいと思っていなかった本が欲しくなるところにある。その欲を充分に高めるため、鷹狩りの前に鷹を飢えさせ野性を引き出すように、10日ほど本屋に行くのをやめた。ほどよく新刊にも疎くなり、これ以上は仕事にも差し支えるのではないかと心に不安が兆しはじめたころ、日はようやく企画の当日に至った。選んだ場所は地上9階(売り場は8階まで)地下1階の堂々たる大書店紀伊國屋書店新宿本店、このビルを下から上まで全部見て本屋を堪能することが今回の方針であり、まずは気になった本をメモ帳に書き留めつつ最上階まで上り、後に予算の範囲内で再検討を加え、買うものをカゴに入れながら最下階まで下って会計をする計画である。
 方針に従い、まずは地下1階から見ていく。ここは旅行書や地図を揃えたフロアで、率直に言ってほとんど縁がない。行かない売り場には知らない本があるわけで、これ即ち宝島である。まず最初に目に入ったのが山と溪谷社が出している山岳地図で、見つけるやたちまち連想が走り出し、山岳地図なら日本アルプスのものが欲しい、今年の中山義秀賞が風野真知雄『沙羅沙羅越え』だった、さらさら越えと言えば富山にいた武将が徳川家康に会いに行くため山岳地帯を抜けたという話だが具体的にどういうルートを抜けたのか前から気になっていた、地図があれば考えやすいだろうというところまで思いが至ったが、本を買う企画で地図はどうなのかという気が差したので、これはいったん保留にしてヤマケイ文庫『穂高に死す』を代替とし、さらにヤマケイ新書『香料商が語る東西香り秘話』の「香料商」というエキゾチックな言葉に胸を射貫かれこれもメモした。しかし考えてみればハウス食品のことだったかもしれない。平台に目を落とすと『文豪山怪奇譚』という文字列が飛び込んできて、「山怪」と「奇譚」に弱いんですよ私は、などと思いながらメモに書き留める、ちなみに他には「大時計」とか「ねむり」とか「廃」に弱い、まだ他にもいろいろ弱い。

米澤穂信さんが図書カードで購入した本

著書 著者/出版社 価格(税込)
『鉄道が変えた社寺参詣』 平山昇/交通新聞社新書 ¥864
『全国 五つ星の手みやげ (新訂版)』 岸朝子選/東京書籍 ¥3,024
『少年の名はジルベール』 竹宮惠子/小学館 ¥1,512
『うた合わせ』 北村薫/新潮社 ¥1,728
『アメリカ短編ベスト10』 平石貴樹編訳/松柏社 ¥1,944
『虚構の男』 L・P・デイヴィス、矢口誠訳/国書刊行会 ¥2,376
『ミニチュアの妻』 マヌエル・ゴンザレス、藤井光訳/白水社 ¥2,808
『最初の刑事』 ケイト・サマースケイル、日暮雅通訳/早川書房 ¥3,024
『ニンジンでトロイア戦争に勝つ方法』上下 レベッカ・ラップ、緒川久美子訳/原書房 ¥4,320
『漢字廃止の思想史』 安田敏朗/平凡社 ¥4,536
『紅茶スパイ』 サラ・ローズ、築地誠子訳/原書房 ¥2,592
『本を愛しすぎた男』 アリソン・フーヴァー・バートレット、築地誠子訳/原書房 ¥2,592
合計 13冊  購入総額 ¥31,320

それでは各書籍について、購入の背景をじっくりと伺いましょう。

購入の背景について

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